関西・伊丹両空港を運営する関西エアポート(KAP)と岩谷産業(8088)は4月9日、伊丹空港内に燃料電池車(FCV)向けの水素ステーション「イワタニ水素ステーション大阪伊丹空港」をオープンした。伊丹に同様の施設が開業するのは初めて。2025年に開かれる大阪万博までに、伊丹と関西両空港を結ぶリムジンバスにFCVの導入実現を目指してバス会社に働きかけるほか、伊丹周辺でのFCVの利便性向上を図る。
関空では、民営化前の2012年に無料連絡バスの一部に水素燃料電池バスを投入するなど、環境負荷低減の一環として、FCVの導入を進めてきた。2016年1月29日には、関空内に岩谷産業の「イワタニ水素ステーション関西国際空港」がオープンし、現在は燃料電池フォークリフト(FCFL)を7台、トヨタ自動車(7203)のFCV「ミライ」を2台運用している。
伊丹の施設は敷地面積約1200平方メートル、延床面積147.69平方メートルで、岩谷産業の水素ステーションとしては24カ所目。岩谷産業の谷本光博社長は「FCV普及の起爆剤として期待している」と開所式であいさつした。
KAPの山谷佳之社長は、「FCVのPRになるので、2025年の万博前には両空港を結びたい」と述べ、伊丹と関空を結ぶリムジンバスへのFCV導入実現に向け、環境整備を進めていく考えを示した。KAPによると、現時点では日本の高速道路を走行できる右ハンドルのバスのFCVがないため、導入実現は車両開発の進捗に左右されるという。
伊丹の水素ステーション開業に合わせ、KAPは本田技研工業(7267)のFCV「クラリティ」を1台導入。今後の伊丹へのFCV導入について、伊丹空港本部長を務めるKAPの北山博常務は「値段が高級車と同じくらいする」と高価な点や、航空貨物が多い関空と比べて、伊丹は旅客の受託手荷物が多いなど、空港内での車両の使い方が両空港で異なる点を挙げ、導入する場合は関空よりは緩やかなペースになる可能性が高いと語った。
関連リンク
大阪国際空港(伊丹空港)
岩谷産業
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