日本航空(JAL/JL、9201)は4月1日、グループ合同の入社式を東京・羽田の格納庫で開いた。グループ37社1962人が集まり、閉式後は恒例となった紙飛行機を飛ばした。
赤坂祐二社長は訓示の冒頭、パイロットの飲酒問題で国土交通省から事業改善命令を受けたことに触れ、「一部の社員による不祥事、飲酒だけの問題と捉えてはいけない。我がこととして再確認する必要がある。安全を守るとは、人命を守ること」と、航空会社としてもっとも重要である安全の意義を説いた。
「私たち航空に従事する者にとり、すべての仕事、意識や行動が人命に関わっていることを忘れてはならない。何一つ手を抜くことはできないはずだ」と述べ、「真のプロフェッショナルを目指して欲しい。航空会社の仕事は地味な仕事が多いが、自分の仕事が何とつながっているのかを理解して欲しい。プロとしての自分自身を、自らのためではなく、仲間のため、社会のため、未来のために活かす本物のプロフェッショナルに成長することを期待する」と訓示した。
また、フィギアスケーターでJALサポート選手の浅田真央選手と、空手女子日本代表でJAL所属の植草歩選手が会場を訪れ、新入社員を激励。浅田選手が登場してしばらくすると、新元号「令和(れいわ)」が発表され、会場のスクリーンに大きく映し出されると、新入社員たちからは「えー」という低い声が響き渡った。
浅田選手は、「私は平成2年(1990年)生まれで、みなさんも平成生まれだと思う。新たな時代が始まったのかな、という感じがする」と語りかけた。
入社式を終えた新入社員は、メッセージが書かれた紙飛行機を「明日の空へ、テイクオフ」のかけ声に合わせて一斉に飛ばし、恒例行事を体験した。
新入社員を代表し、6人が抱負を語った。業務企画職事務系の川東源さん(22)は「お客様と仲間のことを常に考えて仕事をしたい」、同数理IT系の吉倉優介さん(23)は「数理IT系の1期生として感謝の気持ちを胸に、謙虚かつ果敢に挑戦していきたい」、同技術系の吉岡美波さん(22)は「安全運航の信頼を築けるよう精いっぱいがんばりたい」、運航乗務職訓練生の押見彰太さん(22)は「親しみやすさとたくましさを併せ持ち、お客様と仲間から愛されるパイロットになりたい」、客室乗務員の笠原満里奈さん(24)は「小さなことに感謝し、コツコツがんばりたい」と話した。また、アスリート採用で男子走り高跳びの戸邉直人選手(26)は「社業ももちろん、東京オリンピックで金メダルを獲得できるようがんばりたい」を意気込みを語った。
JALは2010年1月に経営破綻し、2012年9月に再上場を果たした。2013年4月に経営破綻以来3年ぶりの入社式を開き、今回は再上場後7回目となった。
新元号の発表を受け、昭和62年(1987年)入社の赤坂社長は「私は昭和最後の方の入社だったが、昭和入社と平成入社が違って捉えられたように、(今年入社の社員は)自分たちが思っている以上に新しい世代として期待されると思う」と語った。
また、“真のプロフェッショナル”を目指す上で、「新しいテクノロジーが出てきていろいろなことができるようになった一方で、一つのことをコツコツやることがすごく大事。素直で前向きなコミュニケーションが取れることは、非常に重要だと思う」とアドバイスした。
*写真は18枚。
関連リンク
日本航空
19年度入社式
・片野坂社長、新入社員と「安全がすべて」3回復唱 ANA、19年度入社式(19年4月1日)
これまでのJAL入社式
・JAL赤坂新社長「安全は全員で守っていくもの」18年度入社式(18年4月2日)
・JAL、17年度下期入社式 植木社長「つぶれたのではなく、つぶした会社」(17年10月3日)
・JAL植木社長「成長というものを誤解しないで」17年度入社式(17年4月3日)
・松井秀喜氏「練習苦にならなかった」 JAL入社式で激励(16年4月1日)
・植木社長「新しいことに挑戦する勇気を」JAL、15年度入社式(15年4月2日)
・JALが入社式 決意託した紙飛行機がテイクオフ(14年4月2日)
・JAL、3年ぶり再上場後初の入社式 植木社長「選んでくれてありがとう」(13年4月1日)