ANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は2月26日、2020年中ごろの受領を計画している三菱航空機のリージョナルジェット機「MRJ」について、現時点で機材計画を見直す考えはないと語った。
MRJは、国土交通省航空局(JCAB)のパイロットが機体の安全性などを審査する「TC飛行試験(型式証明飛行試験)」を、1月下旬から米国で実施予定だったが、審査開始が遅れている。
片野坂社長は、「飛行試験の遅れについては、ちょっと聞いたというのが正直なところ。これまで5回遅延したが、2020年半ばにデリバリー(納入)するコミット(確約)をいただいている。三菱重工業(7011)からもしっかりやると聞いており、信頼している」と語った。
MRJの納入遅延に伴い、ANAHDでは経年機の退役スケジュール見直しや、ボンバルディアのターボプロップ機Q400(DHC-8-Q400)を新規購入するなど、これまでに機材計画を見直した経緯がある。今回のTC飛行試験の遅れについては、「現時点で機材計画を調整することは考えていない」(片野坂社長)と語った。
三菱航空機の親会社で、MRJを製造する三菱重工は、4月1日付で泉澤清次常務が新社長に昇格する。一方、MRJは会長に退く宮永俊一社長が直轄してきたことから、当面は宮永氏がプロジェクトを引き続きリードしていく。
MRJ進捗
・宮永社長「前任者の責任」 特集・会長直轄で難局乗り切るMRJ(19年2月8日)
・三菱重工、新社長に泉澤常務が昇格 宮永社長は会長に、MRJ当面主導(19年2月7日)
・MRJ、1月下旬からTC飛行試験 エンジンから確認(18年12月21日)
・三菱航空機、1700億円増資 三菱重工が債権放棄 MRJ開発専念(18年12月7日)
・三菱重工、MRJの社長直轄委員会を設置 納期変更せず(16年11月30日)
ファンボロー初日の飛行展示
・MRJ、ファンボロー航空ショーで初の飛行展示 宮永社長「強い競争力ある」(18年7月17日)
・静かに舞い、静粛性アピール 写真特集・MRJ初のファンボロー飛行展示(18年7月17日)
・大型画面に計器集約 写真特集・ファンボロー舞ったMRJのコックピット(18年7月21日)
・「静かさアピールした」安村機長に聞くMRJ初のファンボロー飛行展示(18年7月21日)
パリは内装展示を
・「パリではMRJの内装展示を」三菱航空機・水谷社長インタビュー(18年7月24日)
モーゼスレイクで飛行試験
・MRJ、米モーゼスレイクで飛行試験初公開 ファンボロー航空ショーにはANA塗装機(18年6月28日)