アジアの航空需要が拡大する中、次世代の客室仕様を模索する動きが活発化している。EU(欧州連合)では、産学共同となる「ホライゾン2020」の一環として、2025年以降のアジア市場に特化した航空客室仕様デザインのコンセプト開発を目的とした「FUCAM(フーカム:アジアの近未来客室仕様)」プロジェクトが、2016年2月から3年間にわたり研究を進め、今年1月に都内で成果を発表した。
FUCAMには、EUからエアバスなど7者、日本から1社が参加。衣・食・住と旅行という4つの基本要件を、近未来のアジアに着目した先進的な客室構造やシステムを設計する上で重要なものととらえ、「アジアでの人生における哲学や様式、必要不可欠なもの」といった形で取り入れた。
日本から参加したのは、航空機内装品大手のジャムコ(7408)。2018年4月に独ハンブルクで開かれた「エアクラフト・インテリア・エキスポ2018」(Aircraft Interiors Expo 2018)では、左右の席をつなげてダブルベッドのように使えるビジネスクラス用シートのコンセプトモデルを発表した。
今回のFUCAMの研究発表では、「座イス」から発想したビジネスクラス用シートのコンセプトを披露した。アジア域内の路線はフライト時間も短く、ベッドのようになるフルフラットシートでは、持て余してしまう場合もある。そこでベッドほどではないものの、座イスをイメージしたコンセプトを打ち出した。
座イスシートのコンセプトを立案したジャムコのプロダクトイノベーション室の木越玲さんによると、食事をしながら映画を鑑賞したり、仕事をするなど、「ながら作業」を想定。フットレストを伸ばして座面を広くする座イスタイプのシートに、大きめのテーブルやサイドテーブルを組み合わせるレイアウトにした。
エアバスによると、今回のプロジェクトはコンセプトの研究までで、実用化するかは今後航空会社などと意見交換をしていくという。
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FUCAMプロジェクト
ジャムコ
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