2018年9月に台風21号の影響でタンカーが衝突した関西空港の連絡橋に、新たな橋桁2つを設置する工事が2月12日から始まった。13日明け方までに、1つ目の橋桁を大型クレーン船でつり上げて架設を終えた。2日間かけて設置し、ゴールデンウイーク前の完全復旧を目指す。
関空と対岸を結ぶ連絡橋は、9月4日に台風で流されたタンカーが橋桁に衝突。今回設置する2つの橋桁は、関空側の陸地にかかる橋台「A1」と海上の橋脚「P1」を結ぶ「A1-P1桁」と、海上の橋脚「P1」と「P2」を結ぶ「P1-P2桁」で、ダメージが少なかった関空側のA1-P1桁は損傷した橋桁の6割を再利用し、タンカーが直撃したP1-P2桁は新製した。
12日から13日明け方にかけて設置したA1-P1桁は、長さ89.8メートル、架設重量790トンで、高田機工の和歌山工場で作業が行われた。連絡橋を管理するNEXCO西日本(西日本高速道路会社)によると、再利用部分の大半は再塗装する程度で使えたという。
13日から設置するP1-P2桁は、長さ97.8メートル、架設重量858トン。IHIインフラシステムの堺工場で新たに製作された。今回は9月の損傷から5カ月で橋桁の設置にこぎつけたが、NEXCO西日本によると、通常は同規模の工事の場合、少なくとも1年程度はかかるという。
橋桁の設置作業は、12日午前からスタートした。連絡橋のそばまで台船で運ばれたA1-P1桁を、大型クレーン船でゆっくりとつり上げた。昼間の作業は、橋桁をつり上げた状態で中断。関空のA滑走路の運用が終わる午後11時30分から、クレーン船を作業位置に向けて動かし始め、関空に乗り入れる鉄道の最終列車が連絡橋を通過後の13日午前0時10分からは、設置作業を行う位置にゆっくりと移動した。
NEXCO西日本によると、関空の発着便に運航の制限が生じる大型クレーン船を使った作業は今回で完了。残りはアスファルトの舗装など、通常の道路工事と同様の作業が中心になっていくという。
6車線ある連絡橋は現在、橋桁が損傷した地点では関空へ向かう下り3車線が通行できず、上り3車線のうち2車線を下り、残りを上りとしている。3月中にも上下2車線ずつ4車線を確保し、対面通行規制を解除できる見込みで、ゴールデンウイーク前には全6車線が通行できる見通し。
*写真は16枚。
*昼間の作業はこちら。
・関空連絡橋、橋桁の設置開始 重さ790トン、大型クレーン船でつり上げ(19年2月12日)
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特集・台風で顕在化した関空経営陣の課題
前編 「もう貨物は戻ってこないかも」
後編 「“素人判断”もうやめて」