エアライン, 解説・コラム — 2019年2月8日 22:26 JST

ANA、フィリピン航空と調印式 9.5%出資、コードシェア拡大や機内食提携

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は2月8日、フィリピン航空(PAL/PR)の親会社であるPALホールディングスと資本・業務提携の契約を締結した。PALホールディングスの株式のうち、9.5%を9500万米ドル(約103億9500万円)で取得し、コードシェア(共同運航)拡大や機内食のケータリング受託など、幅広い分野で連携を進める。

都内で開かれた調印式後、スマートフォンで自撮りするPALホールディングスを擁するルシオタングループのタン社長(中央左)とANAホールディングスの片野坂社長(同右)ら=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
アジア最古の航空会社
機内食受託など視野
クラーク-成田など検討

アジア最古の航空会社

 ANAは、2011年2月に初のフィリピン路線となる成田-マニラ線を開設。現在は羽田からもマニラへ就航しており、いずれも1日1往復で東京-マニラ間を週14往復運航している。

業務・資本提携を締結したANAホールディングスの片野坂社長(中央右)とPALホールディングスを擁するルシオタングループのタン社長(同左)、ANAの平子社長(右)、フィリピン航空のバウティスタCOO=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 フィリピン航空とは、2014年からコードシェアを開始。マイレージの提携や空港業務を相互に委託するなど、連携を進めてきた。今回の業務・資本提携により、非常勤取締役の派遣や両国の国内線でのコードシェア拡大など、関係を強化する。

 フィリピン航空は、アジアの航空会社ではもっとも古い1941年設立。今年1月には、マニラ-東京線が就航70周年を迎えた。長い歴史を有する一方、航空連合には加盟していない。

 現在は日本6都市へ、マニラとセブから9路線を週84往復運航。マニラから羽田と成田、関西に1日2往復ずつ、中部(セントレア)と福岡には1日1往復ずつ、札幌(新千歳)へは週3往復乗り入れている。セブからは成田へ1日2往復、関西へ1日1往復、中部へ週4往復運航している。

機内食受託など視野

 ANAHDの片野坂真哉社長は、「フィリピンはアジアで目を見張る成長を遂げており、ポテンシャルが高い。(PALホールディングスを擁する)ルシオタングループは、ホテルや金融など多岐にわたり産業界をリードする歴史あるグループだ」と、提携の意義を説明した。

フィリピン航空との提携について説明するANAホールディングスの片野坂社長(中央右)=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

モデルプレーンを交換するANAホールディングスの片野坂社長(右)とルシオタングループのタン社長=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 PALホールディングス取締役を務めるルシオタングループのマイケル・G・タン社長は、「おもてなしは両国の文化の特徴」と共通点を挙げ、フィリピン航空のハイメ・J・バウティスタCOO(最高執行責任者)は、「出資の話は他社からもあったが、ANAは世界の中でベストな航空会社のひとつ。2年前から変革の取り組みを進めており、(英調査会社スカイトラックスの)5つ星を獲得しているANAには、支援していただけると思う」と、期待感を示した。

 ANAHDは同様の資本・業務提携として、ベトナム航空(HVN/VN)株の約8.8%を2016年に取得。コードシェア拡大や機内食の受託をはじめ、ANAのベトナム便にベトナム航空の客室乗務員が乗務し、ベトナム語での機内アナウンスや通訳を担当するなど、協力関係を築いている。

 ANAの平子裕志社長は、フィリピン航空との提携について、「取締役を非常勤で送るほかに、担当者が半期に1回くらい集まってモニターし、進捗を見ながらやっていきたい。できれば羽田と成田で、機内食のケータリングビジネスで提携して欲しい」と語った。また、羽田で受託しているグランドハンドリング(地上支援)業務の受託拡大なども視野に提携を強化する。

クラーク-成田など検討

フィリピン航空との提携について説明するANAの平子社長=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 日本政府観光局(JNTO)によると、2018年の訪日客数2610万9329人のうち、フィリピンは1.5%にあたる40万1345人だった。5年前の2013年は10万8351人で、3.7倍に増加した。

 平子社長は「需要創出効果を期待している。おもてなしが好きな国民性が共通しており、磨きを掛けたい」と述べた。

 一方、フィリピン航空ではクラーク-成田線など新路線の検討を進め、ANAとの提携を活用して日本市場を強化していく。

 日本とフィリピン間の路線は両社のほか、日本航空(JAL/JL、9201)とLCCのセブパシフィック航空(CEB/5J)、ジェットスター・グループ2社が運航。JALは羽田と成田からマニラへ週21往復、セブパシフィック航空はマニラから成田と関西、中部、福岡、セブから成田の5路線週33往復、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は成田と中部からマニラ、ジェットスター・アジア航空(JSA/3K)はマニラとクラークから関西へ乗り入れており、ジェットスター・グループとして4路線週18往復を運航している。

業務・資本提携を締結し記念撮影するANAホールディングスの片野坂社長(中央右)とルシオタングループのタン社長(中央左)、ANAの平子社長(右から2人目)、フィリピン航空のバウティスタCOO(左から3人目)と両社の客室乗務員ら=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

双方のモデルプレーンを手にするANA(右)とフィリピン航空の客室乗務員=19年2月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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