日本エアコミューター(JAC/JC)の鹿児島発屋久島行きJC3741便(ボンバルディアQ400型機、登録番号JA851C)が11月28日、飲酒による機長交代の影響で1時間遅れて出発した。乗務予定だった機長が、アルコール検査で制限値をオーバーしたため。当該機を使用予定だった国内線3便にも遅延が生じ、合わせて4便に影響が出る可能性がある。
JACによると、機長が鹿児島空港内のオフィスへ出社時に実施したアルコール検査で、制限値の0.1mg/lに対し、これを超える0.2mg/lが検出されたという。このため、機長の交代が発生し、鹿児島を午前8時50分に出発予定だったJC3741便は、乗客16人と乗員4人(機長1人、副操縦士1人、客室乗務員2人)を乗せ、1時間遅れの午前9時50分に出発した。屋久島到着は、1時間3分遅れの午前10時28分だった。
パイロットの飲酒トラブルが、このところ相次いでおり、監督する国土交通省航空局(JCAB)では27日から航空会社への立ち入り検査を始めたばかり。JACは日本航空(JAL/JL、9201)の鹿児島を拠点とするグループ会社で、JALには27日から29日まで、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAとANAウイングス(AKX/EH)の2社には28日から30日まで、それぞれ立ち入り検査を実施している中で起きた。
ANAのトラブルは、10月25日に発生。ANAウイングスの機長(当時)は、乗務前日に同僚のANAパイロットと2人で飲食し、25日朝に体調不良を訴えて交代し、乗務予定だった国内線5便にそれぞれ1時間弱ずつ遅延させた。当該機長はその後、11月6日付で諭旨退職処分を受けている。
JALでは、英国時間10月28日(日本時間29日)に発生。ロンドンを28日午後7時発の羽田行きJL44便に乗務予定だった副操縦士から、英国の規定値を大きく超えるアルコール量が検出されて身柄を拘束された。英国の裁判所による判決は、日本時間30日に言い渡される見通し。
JALによると、パイロットが乗務前に行う呼気検査時に、不正が困難な新型アルコール検知器を導入した2017年8月以降、グループ全体の感知件数は25件。感知事例があったのはグループ6社のうち、JALとジェイエア(JAR/XM)、JACの3社で、JALが19件でもっとも多く、ジェイエアが4件、JACが2件と続いた。遅延が生じたのは16件で、内訳はJALが12件、ジェイエアが3件、JACが1件だった。
また、JACのQ400は11月30日で退役予定で、当該機は最終便に使用する機材だった。
関連リンク
日本エアコミューター
国土交通省
運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策について(JAL)
日本航空
飲酒に関する航空法等の遵守の徹底について(報告)(ANA)
全日本空輸
ANAウイングス
エアージャパン
国交省が立入検査
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JALとANAが再発防止策提出
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JALの飲酒トラブル
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・JALグループ、パイロット飲酒で16件遅延 昨夏の新型検知器導入後(18年11月17日)
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・JAL副操縦士、英国で拘束 乗務前アルコール検査基準を大幅超過(18年11月1日)
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ANAの飲酒トラブル
・ANAウイングス、飲酒機長を諭旨退職(18年11月9日)
・ANA、子会社パイロット飲酒で5便遅延(18年10月31日)
・ANA、パリ支店長が酒酔いで乗客けが ワイン6杯、諭旨解雇(18年10月5日)