川崎重工業(7012)は、2018年4-9月期(19年3月期第2四半期)連結決算で、ボーイング787型機用エンジンの不具合対策費用として、約100億円を計上する。同エンジン事業に収入や開発費用、リスクなどをシェアに応じて負担する契約方式「RRSP(リスク・アンド・レベニューシェアリングパートナー)」で参画しているため。
不具合が生じているのは、ロールス・ロイス(RR)製の787用エンジン「トレント1000」。FAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)がRRに対し、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を今年4月に出した。
EASAのADによると、エンジン内にある中圧コンプレッサー(IPC)のローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるという。
日本の国土交通省航空局(JCAB)もこれに基づき、耐空性改善通報(TCD)を発行。787用に同エンジンを選定した全日本空輸(ANA/NH)では、整備作業の影響で多くの欠航が生じている。
RRSP方式は、エンジンや補用部品の販売・修理事業など、あらゆる収入を事業のシェアに応じて配分を受ける権利がある一方で、開発や量産、販売に関するすべての費用とリスクもシェアに応じて負担する契約方式。航空機産業では近年、巨額の開発費やリスクを複数社で分担するため、RRSP形式で契約を結ぶ企業が増えている。
川崎重工によると、トレント1000プログラムの参画メンバーとして、運航トラブル解決に向けた費用の一部を負担することになり、4-9月期決算で約100億円を計上することになったという。
エンジン問題のほか、為替レートを1ドル107円から110円に見直したり、車両事業での損失計上などで、2019年3月期通期の連結業績予想を10月19日に下方修正。売上高は前回7月31日発表の予想から50億円(0.3%)下方修正し1兆6450億円、営業利益は90億円(12.0%)下方修正し660億円、経常利益は205億円(29.2%)下方修正し495億円、純利益は160億円(34.0%)下方修正し310億円とした。
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