全日本空輸(ANA/NH)などANAグループは、航空機のトーイング(牽引)にリモートコントロール式機器を使う実証実験を10月上旬から始めた。空港での地上支援業務の作業負荷軽減や、教育訓練の効率化を目指す。
実証実験では、整備訓練用の退役機(ボーイング737-500型機、旧登録番号JA301K)を対象に、独mototok社製の機器「Spacer8600」を検証。Spacer8600は運転席がなく、リモートコントロール式のコントローラーで操作できる。
ANAによると、従来の牽引車両と比べて広い視野を確保でき、航空機の車輪の向きなどを間近で確認できることから、作業者の負荷軽減や、短期間での教育・訓練が期待できるという。バッテリーで動くことから、空港でのCO2(二酸化炭素)排出量の削減にもつなげる。
2020年までの導入を視野に、実証実験ではSpacer8600の性能や安全性、操作性、作業者の教育訓練の効率化など検証する。また、大型機の移動や牽引業務への適用拡大に向け、調査研究を進めていく。
リモコン式のトーイングカー(牽引車)は、国内ではジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が2012年7月3日の初便就航時から導入。ジェットスターでは「PPU(Power Push Unit)」と呼んでおり、出発時にエアバスA320型機をプッシュバックする際に、リモコンで操作する。PPUは前後移動が基本で、プッシュバック完了後はリモコンで作業者のところまで操縦し、その後は作業車が運転席に座り、所定の駐車位置や次便のスポット(駐機場)まで運転している。
ANAでは、トーイングカーやPBB(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ=搭乗橋)の訓練用シミュレーターを使った訓練を、2017年10月に開始。グランドハンドリング(グラハン)業務のシミュレーターは日本初導入で、訓練の効率化や習熟度向上などに役立てている。
737-500を訓練機材化
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