成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は9月27日、新路線誘致に向けた航空会社に対するインセンティブ制度を拡充すると発表した。2019年4月1日から適用する。朝の時間帯に出発する新路線の場合、最大で着陸料を3年間無料にする。成田は夕方の発着枠が満杯な反面、朝は余裕があることに加え、LCCが機材稼働率を高める上で、朝出発の便を拡充する必要があるため、路線拡大の支援策を打ち出した。
—記事の概要—
・訪日客で地方活性化
・北海道・東北強化狙う
訪日客で地方活性化
従来のインセンティブ制度は、適用期間が2年だったが、今回は3年に延長。朝時間帯の新路線拡充を支援する「朝発ボーナス」を導入する。
成田の朝時間帯は、国際線が午前6時から同8時59分まで、国内線は午前6時から同7時59分まで。この時間帯に出発する成田空港としての新路線は、着陸料が3年間無料になる。航空会社としての新路線の場合は、着陸料を3年間半額にし、特にLCCや貨物便の就航を促していく。
NAAの夏目誠社長は、「国内線の就航都市は20都市になり、中期経営計画は達成した。12月19日にジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が高知へ就航すると21都市になるが、さらに拡大して、訪日客に成田から地方都市へ直接行ってもらえるようにする」と狙いを説明する。
「訪日客もここまで増えると、いつまでも東京・富士山・京都・大阪の“ゴールデンルート”頼みではなく、地方の良さを実感してもらうことが、年間6000万人を目指す上で必要」(夏目社長)と語った。
また、国際線誘致についても、「アジアの近距離路線を強化し、厳しい空港間競争を勝ち抜く」を意欲を示した。
一方で、課題となるのがこれまでフルサービス航空会社(FSC)が中心に乗り入れていた第1・第2ターミナルの場合、早朝は営業を開始していない店舗があるなど、LCCが乗り入れる第3ターミナルと比べて課題がある。夏目社長は「協力を要請していきたい」と述べ、成田全体で朝の時間帯を活性化していく。
北海道・東北強化狙う
NAAによると、就航するLCCから機材稼働率を高めるため、朝時間帯に出発する便に対する支援を求められてきたという。最大で3年間着陸料をゼロにすることで、当初は高需要が見込めない路線も開設してもらい、新規需要を掘り起こしてもらいたいという。特にLCCの国内線は西日本方面に偏重していることから、北海道・東北方面を強化したい考えだ。
成田を拠点とする国内LCCは、ジェットスター・ジャパンとバニラエア(VNL/JW)、春秋航空日本(SJO/IJ)の3社。このうちバニラは、同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)に2019年度末をめどに吸収し、競争力のあるピーチに一本化する。
2020年には、日本航空(JAL/JL、9201)が立ち上げる中長距離路線に特化した新LCCも成田を拠点に就航するなど、成田はLCCに関する動きが活発になっている。
NAAは、海外のLCCを呼び込むほか、新規需要を掘り起こしてきた実績を持つピーチなどに、新路線開設を呼びかけていく。
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成田国際空港
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