日本航空(JAL/JL、9201)は9月13日、ハワイ路線での新サービスを発表した。ハワイアン航空(HAL/HA)とのマイレージ提携や、ビジネスクラスで機内食を好きな時に食べられるサービスなど、「Style yourself」をコンセプトに、乗客ひとり一人に合わせたサービスを用意することで差別化を図る。
—記事の概要—
・好きな時に機内食
・アーリーチェックインでストレス解消
好きな時に機内食
新サービスは、エコノミークラス向け機内食新メニューなど、提供開始しているものを含め、8つ用意。ビジネスクラスの機内食新サービス「JAL Luana Style(ルアナ・スタイル)」は、日本出発便が対象。これまでは同じタイミングで提供していた機内食を、乗客が好きな時に頼める。JALのハワイ路線は夜便のため、就寝前に機内食を食べない乗客が多いことから、提供方法を改める。対象は成田と関西、中部発のホノルル線とコナ線で、10月1日からスタートする。
JALで国際線事業を統括する国際路線事業本部長の大貫哲也常務は、「空港ラウンジの食事に力を入れていることもあり、ビジネスクラスの乗客は、夜はお腹が減っている人があまりいない。一律で提供するサービスはやめ、到着時に提供していた軽食を夜食べていただくなど、好きな順番で食べてもらう」と、狙いを語った。
成田発着のホノルル線とコナ線では、ハワイのクラフトビールであるコナビールを全クラスで提供。7月と8月に成田-コナ線でコナビール「BIG WAVE」を提供したところ好評だったため、12月1日からはホノルル線にもサービスを拡大し、別銘柄の「LONGBOARD」を加える。
ハワイ到着後のサービスとして、提携する9つのホテルで、正午からチェックイン可能な「アーリーチェックイン」を10月1日から提供。「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」「ワイキキビーチ・マリオットリゾート&スパ」「アウトリガーホテルズ&リゾーツ」などで利用できる。
昨年9月に包括的業務提携を結んだハワイアン航空とは、今年3月からコードシェアを開始。10月1日搭乗分からは、マイレージの提携を始める。ハワイアンの国際線とハワイ諸島路線が対象で、ためたマイルはハワイアンの特典航空券にも交換できる。
8月に新ラウンジ「サクララウンジ・ハレ」がオープンした、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)では、セルフサービスの自動手荷物チェックイン機を2019年3月末から12台導入予定。従来の有人カウンターに併設し、手早くチェックインを終えたい旅慣れた乗客などの利用を想定している。
ホノルルのサクララウンジについては、現在の本館についても、2019年3月末のリニューアルを予定している。
また、現地での観光に役立つスマートフォン用アプリ「HAWAIICO(ハワイコ)」を提供。チップの計算機能やオフラインでも使える地図などを用意する。
アーリーチェックインでストレス解消
アーリーチェックインについて、大貫常務は「ホノルル線はすべて午前中に着くので、到着後すぐにはホテルに入れないのが、ハワイ旅行で感じるストレスの一つだと考えている。アーリーチェックインで、これを解消したい」と話す。
ハワイ州観光局のエリック高畑局長は「ハワイには8つ島があるので、8つのサービスなのではないか」とJALの新サービスに触れ、「現在ハワイ島の火山噴火は止まっており、ハワイは大丈夫だ。貿易風が毎日吹いているので、“自然の換気扇”のようで、空気をきれいにしてくれる。ハワイ島はアクティビティもたくさんあるので、ぜひ訪れて欲しい」と呼びかけた。
ハワイ島出身でJALハワイ路線のイメージキャラクターを務めるモデルの長谷川潤さんは、「子供を連れていくとアーリーチェックインはうれしい。(目的地に)着いたらシャワーも浴びたい」とアーリーチェックインを評価。ハワイ島については、「大自然が本当に美しく、毎回感動する。星空や夕日がきれいで、ドライブは気候の変化がみられるので面白い」と魅力を語った。
JALは1954年にハワイへ就航。国際線の中でも最重要路線のひとつに位置づけている。競合の全日本空輸(ANA/NH)は、2019年春からホノルル線に総二階建てのエアバスA380型機を投入予定で、競争激化が見込まれる。JALは自社のサービス刷新や地元ハワイアン航空と計画している共同事業(JV)の開始により、多様化する利用者のニーズ取り込みを狙う。
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日本航空
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