三菱重工業(7011)の宮永俊一社長は現地時間7月16日、子会社の三菱航空機が開発を進めているリージョナルジェット機「MRJ」に続く機体について、現在と同じ100席未満のサイズを中心に検討を進めていく方針を示した。
ロンドン近郊でこの日開幕したファンボロー航空ショーで取材に応じた宮永社長は、「リージョナルジェットの市場は米国が大きいが、これからはASEAN諸国なども出てくる。MRJ90と70にまず力を入れ、その派生でどういうことが展開できるか、少し堅実な形で伸ばしていきたい」と語った。
MRJのラインナップは、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」と、76席の「MRJ70」の2機種。今回のファンボロー航空ショーで、フライトディスプレー(飛行展示)を初めて披露したMRJ90は、5回の延期により2020年半ばの初号機納入を目指している。MRJ70は、2021年後半にも引き渡しを始めたい考えだ。
MRJよりも一回り大きい100-150席クラスの市場には、カナダのボンバルディアが開発し、エアバスが事業会社を買収した小型機A220(旧Cシリーズ)や、ブラジルのエンブラエルが開発したリージョナルジェット機「E2シリーズ」がある。エアバスによるCシリーズ買収と同様、ボーイングはエンブラエルと合弁会社を設立し、関係を強化する。
宮永社長は、MRJよりも大型の旅客機を開発する可能性について、「開発(の仕方)や技術が(MRJのクラスとは)随分違う」と述べた上で、「日本の航空機産業で、シナジーが一番出るエリアをどういう風に持っていくかを検討したい」と、否定的な見方を示した。
また、MRJを世界で販売していく上で、ライバル各社が展開する、機体の特徴などを生かしたPR戦略や、既存顧客からのフィードバックを反映した改良など、これまで以上に海外市場に訴えかける戦略が不可欠になる。
宮永社長は、「三菱重工は変わろうとしている。航空機は特殊な技術を進化させることを一生懸命やってきたが、性能面でしっかりがんばるだけではなく、もっと世界のお客様にファンになっていただける飛行機を作る必要があるので、インターナショナルな感覚を身につけたい」と語った。
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