全日本空輸(ANA/NH)は7月4日、ボーイング787型機が使用するエンジンの整備作業の影響で、6日から12日までの7日間に、国内線113便が欠航すると発表した。約2万1000人に影響が出る見通し。
整備対象となるのは、ANAの787が使用しているロールス・ロイス(RR)製エンジン「トレント1000」。今年4月に、FAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)がRRに対し、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を出した。日本の国土交通省航空局(JCAB)もこれに基づき、耐空性改善通報(TCD)を発行。ANAも、対象となるエンジンの整備を進めてきた。
EASAのADによると、エンジン内にある中圧コンプレッサー(IPC)のローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるという。
ANAによると、4月の段階では、主に国際線を飛ぶ787-9が搭載している「パッケージC」と呼ばれるエンジン66基が対象だったが、EASAが6月12日にADを追加発行。改修対象のエンジンが、主に787-8が使用している「パッケージB」にも広がり136基に増えたことで、国内線の機材繰りに影響が及び、羽田-伊丹線、福岡線など幹線を含む113便もの欠航が決まった。
今回の改修指示は、全世界の航空会社が対象。ANAによると、交換部品の供給がひっ迫していることで交換に時間がかかっていることも、欠航につながった要因だという。
6月に出されたADによると、パッケージBエンジンの中圧コンプレッサー1段ブレードに対しては、超音波による点検をADの発効日から30日以内もしくは60日以内に実施するよう指示。同2段ブレードについては、ボアスコープと超音波による点検を同30日以内に行うよう求めている。
国内でトレント1000を選定した航空会社は、ANAのみ。日本航空(JAL/JL、9201)はGE製GEnx-1Bを選定しており、対象外となる。
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