次世代リージョナルジェット機「MRJ」を開発中の三菱航空機は現地時間6月27日(日本時間28日)、70席クラスの「MRJ70」について、2021年後半にも初納入する意向を示した。
MRJは、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」と、76席の「MRJ70」の2機種で構成。パイロットのライセンスやエンジンなどが共通で、現在はMRJ90から開発を進めている。
米国の飛行試験拠点があるワシントン州モーゼスレイクで、プログラム推進本部長のアレクサンダー・ベラミー氏は本紙などの取材に対し、MRJ70について「2021年後半から2022年前半に市場投入したい」との意向を示した。
現在飛行試験が進むMRJ90は、5回にわたる納入延期により、2020年半ばまでに初号機引き渡しを目指している。納入開始の数カ月前までには、機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」を、監督する国土交通省から取得する必要がある。ベラミー氏によると、TC取得に向けた飛行試験を、今年7-9月期にも始める方向で調整を進めているという。
これまでMRJ70は、MRJ90の納入開始から約1年後の完成を念頭に置いており、おおむねスケジュールに近い時期に市場投入するとみられる。
背景には、リージョナルジェット機最大の市場である北米で、2022年以降に置き換え需要が高まることがある。三菱航空機では、2022年から2027年にかけて約900機の需要があると予測しており、特にボンバルディアCRJ200型機のような50席クラス機の退役が、2023年から2026年にかけて大量に生じるとみている。
また、北米では大手航空会社で働くパイロットの雇用を守るため、航空会社とパイロット組合の間で結ばれた労使協定の中に、「スコープ・クローズ」と呼ばれるリージョナル機の座席数や最大離陸重量の制限がある。このため、現在は座席数76席以下、最大離陸重量8万6000ポンド(約39トン)という値が基準の一つになっており、同クラスで新型エンジンを搭載する次世代機はMRJ70のみであることから、置き換え需要を取り込みたい考えだ。
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