IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月5日に閉会した第74回AGM(年次総会)で、各国政府が空港を民営化する際、慎重に検討するよう求めた。
IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は、「われわれの調査では、民営化された空港で、効率性や投資水準が向上していないことがわかった。民営化に、すべての答えがあると仮定するのは間違いだ」と述べ、各国の政府が不十分な検討で空港を民営化することで、長期的に空港の社会的な便益が損なわれる可能性があると、警鐘を鳴らした。
IATAによると、全世界の空港のうち、約14%が民営化されているという。空港民営化を成功させる上で、消費者や航空会社、投資家などが得る利益のバランスを考慮することがカギになると指摘。各国の政府に対し、空港運営会社が確実にサービスレベルを向上させ、消費者の利益を保護するよう、規制措置を確立することを求めた。
今回のAGMは、豪州シドニーで3日から5日にかけて開催。カンタス航空(QFA/QF)がホストを務め、空港民営化の問題点をはじめ、航空業界が抱える課題を各社の首脳陣が集まり議論した。次回はソウルで開かれ、ホストは2019年に民営化50周年を迎える大韓航空(KAL/KE)が務める。
また、IATA理事会の議長は、シンガポール航空(SIA/SQ)のゴー・チュン・ポンCEOが1年の任期を終え、カタール航空(QTR/QR)グループのアクバ・アル・バクルCEOが選出された。
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空港民営化の問題点
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