エアアジア・グループのタイ・エアアジアX(TAX/XJ)は現地時間4月10日、バンコク(ドンムアン)-札幌(新千歳)線を就航した。札幌発は翌11日から運航を開始した。エアアジア・グループの札幌線は3路線目となる。
—記事の概要—
・観光シーズンに運航開始
・ICAOのSSC解除で就航
観光シーズンに運航開始
運航スケジュールは1日1往復で、札幌行きXJ620便がバンコクを午後11時55分に出発し、翌日午前8時40分着。バンコク行きXJ621便は午前9時55分に出発して、午後3時10分に到着する。機材はエアバスA330-300型機で、座席数は2クラス377席で、プレミアム・フラットベッド12席、エコノミー365席となる。
同路線は、観光シーズンとなる北海道の夏季に向けて運航を開始した。札幌市内で会見したナダ・ブラナシリCEO(最高経営責任者)は、「タイの観光客が、北海道観光の成長への貢献することを確信する。手ごろな価格でバンコクへ行けるので、道民にとってもいいことだ」と述べた。
エアアジア・グループの札幌線は、タイ・エアアジアXのバンコク線就航により3路線となった。現在は、エアアジアX(XAX/D7)がクアラルンプールから、エアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)が中部(セントレア)から、それぞれ乗り入れている。
ICAOのSSC解除で就航
タイ・エアアジアXの札幌線は、2015年に発覚した、タイ航空当局の安全性審査体制に関する問題が解決したことにより、運航を開始した。
同社は2015年5月から札幌線を開設予定だったが、直前の3月に国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)がタイ当局に対し、「重大な安全上の懸念(SSC)」を指摘。猶予期間を過ぎても十分な改善策が示されなかったことから、同年6月18日には問題点があることを示す「赤旗(Red flag)」をタイ当局に示した。航空会社が新路線の開設などをタイ当局に申請した際、担当者が不十分な知識で審査をしており、ICAOが定める安全監査基準を満たしていないと判断した。
この影響を受け、タイ国籍の航空会社は就航している定期便やチャーター便については運航を継続できるものの、日本をはじめとするICAO加盟国への新規就航や、増便などのスケジュール変更、機材変更などができない状況になった。
このため、エアアジアはマレーシア国籍のエアアジアXによるチャーター便を2015年5月2日に就航させ、同年7月末まで代替運航した。
ICAOのタイ当局に対するSSCは、2017年10月に解除。このため、タイ・エアアジアXも自社便による新規就航が可能になった。
ブラナシリCEOは「3年待って、やっと実現した」と述べ、安堵した表情を見せた。
運航スケジュール
XJ620 バンコク(23:55)→札幌(翌日08:40)
XJ621 札幌(09:55)→バンコク(15:10)
関連リンク
エアアジア
タイ・エアアジアX
・タイ・エアアジアXのバンコク-札幌便、マレーシア機で就航(15年5月2日)
・タイ・エアアジアXの札幌-バンコク便、マレーシア機で代替運航 タイ当局問題で(15年4月23日)
・タイ・エアアジアX、札幌に5月就航 片道9990円から(15年2月10日)
タイ航空局の安全性問題
・FAA、タイ当局「カテゴリー2」に格下げ タイの航空会社、米国へ新路線不可(15年12月3日)
・なぜタイ航空局は安全性を問題視されたのか 旺盛な訪日需要に影響も(15年3月31日)
・【スクープ】ICAO、タイ航空局に「重大な安全上の懸念」指摘へ 日本への新規就航に影響も(15年3月13日)
ノックスクートも影響
・ノックスクート、バンコク-成田チャーター便 タイの訪日客向け、12月から(17年10月17日)
・ノックスクート、成田-バンコク就航へ タイ当局のSSC解除受け(17年10月16日)
・ノックスクート、就航延期 ICAO判断影響か(15年3月25日)