エアライン, 官公庁 — 2018年3月19日 20:16 JST

宮城県とJAL、訪日客誘致で連携 CAのおもてなし指南や外国人目線の課題指摘

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 宮城県と日本航空(JAL/JL、9201)は3月19日、連携協力協定を締結した。訪日需要の取り込みなど観光振興や人材育成を通じて、地域活性化を図る。JALの大西賢会長が県庁を訪れ、村井嘉浩知事と協定書を交わした。

連携協定を結び協定書を手にする宮城県の村井知事(中央左)とJALの大西会長(同右)ら=18年3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALとの連携協定について説明する宮城県の村井知事=18年3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 協定に基づき、JALは客室乗務員を県に派遣し、地元の旅行業者などに外国人に対する接客ノウハウを提供。“おもてなし”の向上に役立ててもらう。県からも、JAL本社へ職員が出向する。19日は協定を締結したほか、インドで働く現地採用の外国人男性社員(30)が県内を2月と3月に訪れた際、気づいた提案をまとめ、村井知事に報告した。

 村井知事は、「仙台空港に国内線3路線を運航し、震災以降は地域活性化プロジェクトを進め、2016年には活性化推進室を市内に設置するといった縁があり、良い関係を築いてきた」と、協定締結に至った経緯を説明した。

 大西会長は、「訪日客の宿泊シェアを見ると、東北は全体の1.3%。交流人口の拡大が不可欠で、観光振興と人材育成を提案した」と語った。「インド人社員には、予備知識なく一人で訪問させたが、バスを待つ場所に雪をしのぐものを作って欲しいなど、外国人目線の提言は得られるものが大きい」(大西会長)として、今後はタイや欧州などの外国人社員に、宮城県を訪問してもらうという。

宮城県との連携協定について説明するJALの大西会長(右)=18年3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 観光庁の観光統計によると、2017年1年間に宿泊した訪日客は、全国で前年比12.4%増の7800万3570人。一方で、東北6県のシェアは、このうちの1.3%にとどまる。

 JALは2011年夏から、津波により米を作ることができなくなった農地で綿を作り、農業の再生などで復興支援する「東北コットンプロジェクト」に参画。2013年6月には、東北応援プロジェクト「行こう!東北へ」を立ち上げ、東北へのチャーター便の運航や復興応援ツアーなどを実施してきた。

 2011年3月11日の東日本大震災発生当時、社長だった大西会長は「東北の復興へのチャレンジと、(経営再建に向けたJALは)同じ道を歩んでいるという気持ちがあった」と、復興支援への思いを語った。

 また、宮城県では交流人口拡大に向け、訪日客の対応強化だけではなく、若年層を中心にパスポートの取得率を向上させる取り組みを進めている。仙台空港から海外に出掛ける利用者を対象に、パスポートの取得費用を旅行代金から差し引く、旅行代理店向けの補助金制度を設けた。村井知事は「成果は出てきている。パスポート取得率を上げようと、高校や専門学校もまわっている」と述べた。

 JALが観光に特化する形で、自治体と連携協定を結ぶのは、今回が初めてだという。

協定書にサイン宮城県の村井知事(左)とJALの大西会長=18年3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

宮城県の村井知事(中央)に報告書を手渡すJALの大西会長(右)=18年3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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