2017年1月に、全日本空輸(ANA/NH)の秋田発札幌行きNH1831便(ボンバルディアDHC-8-Q400型機、登録番号JA461A)が新千歳空港へ着陸後、オーバーランした重大インシデントについて、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は、同機の機長によるブレーキ開始が遅れたことによるものとの見方を示した。
NH1831便は、ANAウイングス(AKX/EH)が運航。事故は1月19日に発生した。同便は午前11時56分、B滑走路の南側(RWY01R)から着陸後、誘導路に入る際に曲がり切れずにオーバーランし、同58分ごろ、RWY01Rから3070メートルにある、積雪のある滑走路北端の草地で停止した。乗客21人、運航乗務員2人、客室乗務員2人の計25人が搭乗し、乗客乗員にけがはなかった。
JTSBが2月20日に公表した報告書によると、今回のインシデントについて、機長のブレーキ開始が遅れてことが原因で発生したと見ている。パワーレバーが、プロペラの空気抵抗を増大させ、ブレーキを効かせる「ディスク位置」にセットされていなかったことも、発生原因との見方を示した。
また、滑走路や過走帯が、積雪により状態が悪かったことも、オーバーラン発生に影響を与えた可能性が高いとしている。気象庁によると、新千歳空港のインシデント発生当日正午の気温はマイナス2.5度。北風で風速6.8メートル、32センチの積雪があった。
同機は管制官から、滑走路の端にある誘導路「B2」からの離脱指示を受けていた。JTSBは、機長がブレーキを遅らせることで、滑走路から短時間で離脱しようとしたと推定。ブレーキはRWY01Rから2100メートル離れた誘導路「B3」からかけ始めたが、B3を1550メートル先の「B4」と思い違いしたことも、発生原因の1つである可能性が高いとした。
また機長が、着陸から停止するまで、パワーレバーの位置を思い違いし、確認しなかったことも発生原因の1つと見ている。
事故発生後、ANAウイングスはパイロット全員に対し、再発防止に向けた注意喚起をした。航空機運用規程(AOM)も改訂し、着陸後にパワーレバーを直ちにディスク位置にすると改めた。
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