川崎重工業(7012)は2月6日、ボーイングが開発中の大型機「777X」の初号機用胴体パネルの納入式を、名古屋第一工場で開いた。13日ごろに、米シアトルにあるボーイングの工場へパネルを出荷する。
777Xは現行の大型機777の後継機で、777-8と777-9の2機種で構成。777-9の初号機引き渡しは、2020年を予定している。3クラスの標準座席数は777-8が350-375席、777-9が400-425席で、航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロメートル)、777-9は7600海里(1万4075キロメートル)を計画している。
米GE製の新型エンジンGE9Xを2基搭載。主翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777の主翼よりも長くなることから、翼端を折りたためるようにして、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにする。
日本の製造分担割合は、777と同じ主要構造部位の約21%。川重は前部・中部胴体パネル、主脚格納部、後部圧力隔壁、貨物扉の製造を担当する。今回納入する前部・中部胴体パネルは、名古屋第一工場内に2017年2月に竣工した、777X組立工場で最終組立を行う。
今回のパネルは機体右側のもので、大きさはタテ約3.5メートル、ヨコ約10メートル。当面は月産1機分程度を目標に、生産していく。
新工場には、穴開け位置を自動認識して作業する自社製ドリルロボットや、リベット打ちの対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)など、最新鋭の設備を導入して自動化を推進。川重によると、リベット打ちの約7割をロボットがこなすなど、これまでの777の工場と比べ、効率が4割程度上がっているという。新工場の生産レートは、777の工場と同じく月産約8機まで対応できる。
約200人が出席した6日の納入式で、川重の並木祐之・航空宇宙カンパニープレジデントは、「新工場は、生産効率と品質を向上させる目的がある。今後20年以上、安定的な納入を継続していきたい。初納入で、777Xとしてひとつの区切りを迎えた」とあいさつした。
ボーイング民間航空機部門の777Xプログラム担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのエリック・リンドブラッド氏は、「777Xは世界最大で、もっとも低燃費の飛行機だ」と計画している性能の高さをアピールした。
777Xは、コミットメントを含めると340機受注しており、このうち確定発注は326機。日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9を長距離国際線に投入している777-300ERの後継機として、2014年7月31日に20機確定発注しており、2021年度から受領する見通し。
カタログ価格は、777-8が3億9490万ドル(約433億円)、777-9が4億2580万ドル(約466億円)となっている。
*写真は13枚。
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