空港 — 2017年10月26日 06:28 JST

成田空港汚職、NAA元幹部に有罪判決 東京地裁

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 成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の物品納入業務をめぐる汚職事件で、成田国際空港会社法違反(収賄)の罪に問われた同社元上席執行役員、栗田好幸被告の判決が10月25日、東京地裁であった。園原敏彦裁判長は、懲役1年6カ月、執行猶予3年、追徴金60万円(求刑懲役1年6カ月、追徴金60万円)を言い渡した。

汚職事件の舞台となった成田空港=16年11月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 栗田被告は1975年4月に新東京国際空港公団(当時)に入り、2008年から9年間にわたり保安警備部門の責任者だった。NAAの物品納入業務をめぐり、業者に便宜を図った見返りに賄賂を受け取り、今年6月12日に社内で事情聴取したところ認めたため、翌13日の臨時取締役会で執行役員を解任。その後、7月5日に警視庁に逮捕され、同月26日に起訴された。

 NAAによると、栗田被告は多額の借金を抱えていたという。贈賄側から金銭の贈与を受け、見返りに贈賄側の被告人が代表を務める企業から物品の発注を繰り返した。栗田被告は、部長権限で契約先や契約内容を決定できる「少額随意契約制度」を悪用。栗田被告の部下の中には、繰り返しの発注に疑問を持つ人もいたが、栗田被告は聞き入れなかったという。

 NAAは現在、夏目誠社長を委員長とする「随意契約に係る不正行為再発防止委員会」が原因分析や再発防止策のとりまとめを進めており、2018年3月末までに公表する。

 判決を受け、夏目社長は「二度とこのような不祥事が起きることのないよう、再発防止策を通じて、法令遵守及び服務規律の徹底と指導監督の強化を行い、全社一丸となり、再発防止と信頼回復に向けて取り組む」とコメントした。

 NAAは国が100%出資する特殊法人で、前身となる新東京国際空港公団が解散し、2004年4月1日に設置された。社員は公務員に準ずる扱いを受け、成田国際空港会社法では、役員や社員が賄賂を受け取った場合、3年以下の懲役を科すなどとしている。

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