エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2017年9月8日 21:55 JST

ANA、A321neo初号機が羽田到着 12日に国内線就航、全席個人モニター完備

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)のエアバスA321neoの初号機(登録番号JA131A、MSN7839)が9月8日午後3時25分、羽田空港に到着した。国内線用機材で、12日の羽田発熊本行きNH641便が初便となる。

 国内の航空会社がA321neoを受領したのは初めて。ANAの国内線仕様機初となる、全席にタッチパネル式個人用モニターを設けた。電源コンセントや充電用USB端子も備え、機内インターネット接続サービスに対応している。

*写真特集の機内編はこちら
*写真特集の外観編はこちら
*初便の記事はこちら

羽田の202番スポットへ到着したANAのA321neo初号機と横断幕を手にするフェリーフライトのパイロットら=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
PW1100GのA321neo初納入
個人用モニターや電源装備の国内線機材

PW1100GのA321neo初納入

 A321neoの「neo」は「ニュー・エンジン・オプション」の略で、A320ファミリーの長胴型であるA321ceo(A321従来型)の発展型。A320と比べ、胴体長は約20%長い44.5メートルとなる。新型エンジンと翼端の大型ウイングチップ「シャークレット」を取り付けたことで、燃費を15%改善した。

ANAのA321neo初号機のエンジンPW1130G-JM=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのA321ceo初号機のエンジンCFM56=16年10月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAが2016年11月12日に就航させたA321ceoと比べると、航続距離は2380キロ長い(約1.87倍)5130キロ、最大離陸重量は9トン多い(約1.1倍)89トン、最大運用高度は1万2100メートル(3万9698フィート)となっている。

 A321neoのエンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(PW)製PW1100G-JMと、CFMインターナショナル製LEAP-1Aのいずれかを選択できる。ANAは、PW1100G-JMシリーズのうち、推力が1万3740キログラム(3万290ポンド)の「PW1130G-JM」を選定した。

 PW1100G-JMは、三菱航空機が開発中の「MRJ」が採用したものと同じ仕組みの「GTF(ギアード・ターボファン)エンジン」。ギアを介してエンジンファンの回転数を制御することで、低燃費と低騒音を実現している。

 PW1100G-JMはPWのほか、財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)と独MTUアエロエンジンズによる国際共同事業で、JAECには三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、IHI(7013)が参画。JAECが全体の23%を担当している。

 エアバスがPW1100G-JMを搭載したA321neoを引き渡すのは、今回が初めて。ANAは、A321neoを運航する5番目の航空会社となる。A321neoを初受領したのはヴァージン・アメリカ(VRD/VX)で、このほかにアイスランドのLCCWOWエア(WOW/WW)、スウェーデンのチャーター航空会社ノブエア(NVR/N9)、スリランカ航空(ALK/UL)が受領している。

個人用モニターや電源装備の国内線機材

 8日に到着したA321neoは、2014年7月31日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が22機発注したうちの1機目。全機が国内線仕様機となる予定で、2023年度末までに受領する。

ANAのA321neo初号機の機内=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

全席に個人用モニターを装備したANAのA321neo初号機の普通席=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 座席数はA321ceoと同じ2クラス194席で、プレミアムクラス8席と普通席186席。シートはプレミアムがレカロ製、普通席がゾディアック・エアロスペース製で、プレミアムは電動リクライニングシートを採用した。1列あたりの座席配列は、ビジネスが2席-2席、エコノミーが3席-3席となっている。

 シートピッチはビジネスが50インチ(127センチ)で、エコノミーが31-32インチ。全席にタッチパネル式個人用モニターを設置し、画面サイズはプレミアムが12インチ、普通席が10インチとなっている。両クラスとも、電源コンセントと充電用USB端子を設けた。

 また、Wi-Fi機器による機内インターネット接続サービス「ANA Wi-Fiサービス」に対応。機内エンターテインメントシステム(IFE)は、2016年12月26日就航のA320neoと同じく、ゾディアック製「Rave」を採用した。

 ANAがA321を導入するのは、2016年のA321ceo就航に続き、今回で3回目。初回は1998年4月から2008年2月までで、最多で7機のA321(シャークレットなし、191席:スーパーシート8席、普通席183席)を国内線で運航した。

 羽田に到着した初号機は8月23日に製造され、9月5日に独ハンブルクで引き渡された。機体を空輸するフェリーフライトの便名はNH9400便で、ハンブルクを6日午後8時に出発してノボシビルスクを経由し、8日午後3時16分に羽田のA滑走路(RWY34L)に着陸。同25分に202番スポット(駐機場)へ到着した。

初便の運航スケジュール
NH641 羽田(08:25)→熊本(10:05)

*写真は23枚。

羽田のA滑走路へ進入するANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田のA滑走路へ着陸するANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田のA滑走路へ着陸するANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ向かうANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ向かうANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ到着するANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ到着するANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ到着したANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ到着したANAのA321neo初号機と横断幕を手にするフェリーフライトのパイロットら=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田の202番スポットへ到着したANAのA321neo初号機と横断幕を手にするフェリーフライトのパイロットを撮影する同僚=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのA321neo初号機のコックピット=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

電動リクライニングシートを採用したANAのA321neo初号機のプレミアムクラス=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのA321neo初号機の普通席=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

全席に個人用モニターを装備したANAのA321neo初号機の普通席=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田に到着したANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田に到着したANAのA321neo初号機JA131A=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田に到着したANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田に到着したANAのA321neo初号機=17年9月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
全日本空輸
Airbus
エアバス・ジャパン

写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備(17年9月10日)
外観編 低燃費大型エンジンは直径2メートル(17年9月10日)

ANAのA321neo
ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備(17年9月12日)
ANA、A321neo初号機受領 9月中旬から国内線(17年9月7日)
ANA、777-9XとA321neoなど70機正式発注 16年度から受領(14年7月31日)
ANA、777-9XとA321neoなど70機発注 過去最大の投資規模(14年3月27日)

ANAのA320neo
ANAのA320neo、国際線に初就航 成田から上海へ(17年1月23日)
ANA、日本初のA320neo就航 羽田から関空、1月から国際線(16年12月26日)
ANA、日本初のA320neo羽田到着 大型機並み装備、1月から国際線(16年12月17日)
ANA、A320neo初号機を受領 1月から近距離国際線(16年12月16日)

写真特集・ANA A320neo初号機就航
第1回 大型機並み装備のビジネスクラス(16年12月27日)
第2回 狭小空間生かしたギャレーと化粧室(16年12月29日)
最終回 新型エンジンで低燃費低騒音(16年12月30日)

写真特集・ANA A320neo初号機(羽田到着時)
前編 近距離ビジネスも電動シート(16年12月18日)
後編 小型機だけど大型低燃費エンジン(16年12月20日)

ANAのA321ceo
ANA、A321ceo初号機が羽田到着 上級クラスに電動新シート(16年10月31日)

写真特集・ANA A321ceo国内線仕様
前編 電動シートのプレミアムクラス(16年11月17日)
後編 初号機はハンブルク製(16年11月18日)

他社のA321neo
ノブエア、A321neo受領 LEAP機、スウェーデンのチャーター会社(17年7月6日)
エアバス、A321neo初号機納入 ヴァージン・アメリカ、LEAP機リース導入(17年4月24日)