農産物の輸出で連携協定を締結している日本航空(JAL/JL、9201)と農業総合研究所(3541)、世界市場(東京・赤坂)の3社は8月29日、北海道からの農産物の出荷を開始した。アジアで人気が高い、日本の農作物の輸出促進を図る。初回は十勝平野で収穫したトウモロコシを、羽田を経由して香港へ輸出する。
—記事の概要—
・翌々日には店頭に
・5度に保ったコンテナで出荷
・農作物育たない香港、高い人気の日本野菜
翌々日には店頭に
3社は7月12日に、連携協定を締結。農業総合研究所は農産物流通システム「農家の直売所」を国内展開し、同社の孫会社・世界市場は「農家の直売所」をモデルとした市場プラットフォーム「ニッポンイチバ(NIPPON ICHIBA)」を海外展開している。ニッポンイチバは今年2月から香港での販路を確保し、日本産の農作物を販売している。現在は野菜や果物などを、神戸港からの海上輸送で出荷し、およそ7日で香港で店頭に並べている。
連携により空輸が可能となり、従来は輸送時間により販売が困難だった生鮮品などを提供できるようになる。初回となった8月29日は、十勝平野にある農業総合研究所の芽室集荷場(河西郡芽室町)から、1箱30本入りのトウモロコシ8箱を出荷。十勝出荷後、翌々日の31日には香港のスーパー店頭に並ぶ。
また、首都圏のスーパー向けにも、ジャガイモやトマト、ニンジンなどを同時に出荷。翌30日から販売を開始する。農産物流通システム「農家の直売所」は生産者が値段を決定し、どのスーパーに何を出荷するかを決めている。
初回に出荷したのは、香港と首都圏向けを合わせて約1トン。今後は香港のほか、シンガポールや台湾など、販路を拡大する。
5度に保ったコンテナで出荷
芽室集荷場を出発した農作物は、帯広空港着後にJALカーゴのスタッフがコンテナに積み込む。庫内はドライアイスの冷気を循環させることで、冷蔵庫と同等の5度に保つ。ファンは単1電池8本で動かす。
輸出用のトウモロコシの箱には、国内向けの農産物と混同しないように、ラベルを貼って管理する。
農作物は、帯広を午後1時55分に出発する羽田行きJL572便(ボーイング767-300ER型機、登録番号JA655J)で空輸。このうち、輸出用トウモロコシは翌30日午前10時に羽田を出る香港行きJL29便(777-200ER)で輸出する。十勝出荷後、翌々日の31日には香港のスーパー店頭に並ぶ。
農作物育たない香港、高い人気の日本野菜
トウモロコシを生産した農業経営者のグループ「なまら十勝野(とかちや)」の小山勉代表は「十勝のおいしい野菜を世界に広めていきたい」と述べ、首都圏向けには“顔の見える”野菜を提供していきたいと抱負を語った。
「農家の直売所」を構築した農業総合研究所によると、香港は野菜を育てる土壌が少なく、ほとんどを中国本土などからの輸入に頼っているという。香港での日本野菜は市価の5倍程度で販売されているものの、人気が高い。大量に輸出することで、購買層の拡大を狙う。
*写真は10枚。
関連リンク
日本航空
農業総合研究所
世界市場
なまら十勝野
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【お知らせ】
タイトルを一部変更しました。(17年8月29日 20:42 JST)