エアバスは現地時間6月20日、ビッグデータの統合と分析を手掛ける米パランティア・テクノロジーズとともに、航空データプラットフォーム「スカイワイズ(Skywise)」をローンチした。
スカイワイズは、機体の運航記録や部品交換の履歴などの整備記録、パイロットからのリポート、技術文書などを活用し、運航の信頼性や経年機の運航効率を向上。航空会社が機材の運航や整備を行う際、部品交換などの判断を手助けする情報を提供する。
エアバスでは、すでに機体製造の分野でスカイワイズを活用し、作業効率を改善。航空会社が導入することにより、機材が運航停止する時間の削減や、予防整備による整備コスト削減、フライトオペレーションや機材管理の最適化、客室内や地上での運用改善などが実現できるという。
航空会社の運航や整備、機体データを、安全でオープンなプラットフォーム上でエアバスのデータなどと統合することで、航空会社はインフラへの追加投資をすることなく、データの蓄積や管理、解析が可能になる。
分析結果は個別ユーザーごとにまとめられ、エアバスや顧客、サプライヤーが利用できるアプリケーションやAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)で提供する。 このプラットフォームは、顧客が運用している既存のITインフラとシームレスな相互運用性を持たせたという。
スカイワイズを初期導入した航空会社は、エアアジア(AXM/AK)とイージージェット(EZY/U2)、エミレーツ航空(UAE/EK)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)。ピーチは品質監視の自動化や、航空路の視覚化に活用している。
品質監視作業の自動化により、ATA(米航空輸送協会)が策定した規格や航空機ごとに分類されている主要な評価基準を即座に得られるようになり、従来は数日かかったリポートが、数回クリックするだけで作成できるようになったという。
部品の信頼性については、計画外の取り降ろしを追跡し、最適な部品交換時期を決定できるようになった。また、アプリケーション「Flight Path 360」を利用することで、インタラクティブに航空路を視覚化できるようになった。
エアバスによると、これまでは同社のエンジニアが機体ごとに運航寿命全般のデータを追跡し、専門性の高いデータを航空会社などへ提供してきたという。スカイワイズを活用することで、エアバスが擁する2万人のエンジニアの知見を、航空会社などが生かせるようになるという。
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