三菱重工業(7011)と三菱航空機、米ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)傘下のプラット・アンド・ホイットニー(PW)は6月1日、開発中のリージョナルジェット機「MRJ」が搭載するPWの新型エンジン「PW1200G」がFAA(米国連邦航空局)の型式証明を取得したと発表した。
MRJは、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」と、76席の「MRJ70」の2機種で構成。エンジンはいずれも低燃費や低騒音を特長とする、PW製のギヤード・ターボファン・エンジン(GTFエンジン)「PurePower PW1200G」を採用する。推力は1万7000ポンドで、MRJはPW1200Gを2基搭載する。
PW1200Gは、現行のリージョナル機と比べて機体の運航コストを10-20%抑え、排出ガスを最新基準に対して50%低減できるとしている。
FAAが定める型式証明の要件クリアに向け、15種類以上にのぼるシステムレベルの基幹試験に成功。これらの試験を通して、性能や耐圧、耐荷重、耐久性、排出ガス、騒音、鳥衝突、ファンブレードコンテインメントといった項目について、型式証明取得に必要なデータを得た。開発、証明作業、飛行試験を通じたエンジンの総運転時間・サイクルは6000時間、1万5000サイクルに達している。
MRJの飛行試験機は5機で、すでに全機にPW1200Gが搭載されている。6月に開催されるパリ航空ショーでは、飛行試験3号機(登録番号JA23MJ)にローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)の塗装を施し、地上展示することを発表している。
今回FAAから取得したのは、エンジン単体の安全性を証明する型式証明。今後は量産機納入の半年前にあたる、2020年初頭までに機体の型式証明取得を目指す。
関連リンク
三菱重工業
三菱航空機
Pratt & Whitney
・MRJ、パリ航空ショーでANA塗装機お披露目(17年5月26日)
・【スクープ】MRJ、ANA塗装でパリ航空ショー出展へ 3号機塗り替え(17年4月9日)
・MRJ、パリ航空ショーで地上展示へ(17年4月27日)
・パリ航空ショー、6月19日開幕 MRJとP-1出展へ(17年4月19日)
・三菱重工、17年3月期純利益37.4%増 宮永社長「完成機メーカー並みの企画力必要」(17年5月10日)
・三菱航空機、新社長に水谷常務 三菱重工・宮永社長「グループ全体でMRJ推進」(17年2月2日)
・「素材技術で差別化」特集・岐路に立つMRJ、問われる総合力(17年1月24日)
・MRJ、初号機納入2020年半ばに 5度目の延期(17年1月23日)