関西空港を運営する関西エアポートの山谷佳之社長は5月31日、今後の新路線誘致についてアジア諸国の航空会社に強く働きかけていく意向を示した。2016年3月まで関空を運営していた新関西国際空港会社では、ロサンゼルスとロンドンの頭文字から「LL」を長距離国際線誘致のキーワードとしていたが、より関西圏の強みを生かせる路線ネットワークの構築へシフトする。
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山谷社長は、「関経連(関西経済連合会)や同友会(関西経済同友会)といった関西経済界が打ち出しているのは、もっとアジアで関西は光っていけるのではないかということ。訪日客が関西へ来て消費(行動を)することで、観光産業が立ち上がっている。ライフサイエンスや食、参加型スポーツツーリズムはマーケットがアジアで、関西が強いのではないか」と述べ、食文化などがアジアからの訪日客に受け入れられ、関西経済の活性化につながるとの見方を示した。
「日本にとって一番大きなマーケットはアジア。関西から距離が近いというのもあるが、アジアは大票田だ。関空は国際線のLCC比率が3分の1で、安い値段で行き来できる。アジアの成長を取り込み、ともに成長していく」と述べ、これまで新関空会社が目指してきた長距離国際線の誘致よりも、需要と成長が見込めるアジアのネットワーク拡充を重視していく考えだ。
山谷社長は「欧米路線の交渉は力を抜いているわけではないが、ビジネスクラスが埋まらないのではと感じている。(アジアを重視する)関西経済界の方向性に合致したものの考え方ができた上で、欧米も考えていく。関西エアポートとして、大きな流れを外さないようにしていきたい」と語った。
関空の2017年夏ダイヤ(3月26日から10月28日)でLCCの便数は、前年同期比13便増の週378便。17社が20都市と結び、関空を発着する国際線旅客便の33.6%を占める。国内勢ではピーチ・アビエーション(APJ/MM)の週82便が最多で、海外は韓国のチェジュ航空(JJA/7C)の週56便がもっとも多い。
一方、LCCによる国内線の便数は、1日41往復。関空には国内LCC全4社が乗り入れており、関空を発着する国内線旅客便の57%を占める。
アジアの成長を関西圏の成長につなげるとともに、LCCによるアジア路線を軸に関空の発展につなげていくようだ。
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関西国際空港
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