北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)は5月29日、北海道北部の利尻島で航空教室「HACお仕事講座」を開いた。パイロットや客室乗務員、整備士が小学6年生21人に空の仕事を紹介し、利尻島上空を遊覧飛行した。
お仕事講座は今年で2回目。HACが通年で就航している利尻空港の地元である利尻富士町の主催で、昨年スタートした。副操縦士の山崎彌(わたる)さんと客室乗務員の柴田遥日(はるひ)さん、整備士の川崎通利(みちとし)さんが講師を務めた。
—記事の概要—
・コックピット体験からパイロットに
・利尻を遊覧飛行
コックピット体験からパイロットに
入社2年目の山崎さんは、「小さいころ、コックピットに入れてもらい感動してパイロットを目指すようになりました」と、幼少期の体験が空の仕事を目指すきっかけになったと、子供たちに自己紹介。「コックピットからの風景は、客室の窓からは見えない景色。悪天候の時は操縦が大変ですが、達成感があります」と話した。
山崎さんは「健康や英語、コミュニケーション能力が大切です」と、パイロットに求められる資質に触れ、学生時代は体操部に所属していたことや、英語の勉強にまつわるエピソードを披露した。
「社会人5年目ですが、入社は2年目です」と自己紹介したのは、客室乗務員の柴田さん。「銀行に勤めていたのですが、客室乗務員になりたいという思いがあって入社しました」と話す。
「夏休みに一人旅で乗った飛行機で客室乗務員に面倒を見てもらい、かっこいいなと思いました。大学時代は、将来客室乗務員になるためには、どういうことをすれば良いかと考え、ホテルで2年間アルバイトしてお客様と話をしていました」(柴田さん)と、空の仕事を目指す上で心掛けたことを明かした。
整備士の川崎さんは、HACが機体の整備を委託している鹿児島の日本エアコミューター(JAC/JC)所属で、HACの拠点である丘珠空港に勤めている。HACはサーブ340B型機(1クラス36席)を3機運航しているが、JACも同型機を飛ばしている。
川崎さんは、「自衛隊でYS-11やC-1という輸送機を整備していました。新しい飛行機が入ると聞き、25年前に入社しました」と航空会社に転身した経緯を話した。「出発前は飛行機に不具合がないかを点検し、パイロットに過去1週間で機体にどのようなことがあったかを伝えています。お客様から手を振ってもらえるとうれしいですね」と、やりがいに触れた。
空の仕事を紹介した後は、クイズ大会「本当のことを言っている人は誰だ」が開かれた。機体に関する問題が5問出題され、子供たちは3つの選択肢から答えを選んだ。山崎さんら3人が各選択肢を説明したが、本当のことを言っているのは一人だけだ。
第1問目となったのは、コックピットの由来。「虫かご」「鳥かご」「ゆりかご」の3択となった。山崎さんは「スイッチがいっぱいある」、川崎さんは「飛行機が飛んでいると操縦も管制官との会話もしなければならない」、柴田さんは「パイロットが2人おさまっているからゆりかご」と、自説を披露。正解は「鳥かご」で、「コック」はニワトリ、「ピット」は囲いを意味しているという。
パイロットが点灯させる、ベルト着用サインについても出題された。山崎さんが「天候などを見て判断しています」、川崎さんが「今の飛行機は地上と交信できるので、整備士が情報を見て、ランプをつけたり消したりしています」と説明すると、柴田さんは「客室のことを一番わかっているのは客室乗務員です」と、三者三様にもっともらしく子供たちに訴えかけていた。
当初はクイズに全問正解した子供にモデルプレーンをプレゼントする予定だったが現れなかったため、じゃんけん大会を急きょ開いてプレゼントした。
利尻を遊覧飛行
クイズ後は、利尻島上空の遊覧飛行へ出発。今回の参加者は、利尻富士町の鴛泊(おしどまり)小学校と利尻小学校の6年生21人。HACによると、同町の小学6年生全員だという。
遊覧飛行の利尻発利尻行き4350便(サーブ340B、登録番号JA02HC)は午後3時28分に子供たちと関係者31人を乗せて出発し、同32分に離陸。「利尻富士」の愛称で親しまれている利尻山周辺や利尻富士町などの上空を飛行して、午後3時45分に着陸し、同48分に戻った。
機内では山崎さんがエンジンスタートの様子や、フライトの状況などを説明。ところにより雲が見られ、気流の影響で揺れることも多かったが、「ジェットコースターみたい」と子供たちは楽しみ、体調を崩した子はみられなかった。
お仕事講座と遊覧飛行は、30日も利尻町の主催で開催。第1回となった昨年は利尻富士町のみの開催だったが、今年は2町が開くことになった。利尻富士町では、子供たちに航空に対する興味を持ってもらうと同時に、郷土愛を育んで欲しいという。
*写真は24枚。
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