ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は5月18日、札幌(新千歳)-仙台、福岡、台北(桃園)の3路線を開設すると発表した。いずれも9月24日から運航する。
*仙台線初便の記事はこちら。
札幌4路線に
新路線の便数は、仙台線が1日2往復、福岡線が1日1往復、台北線は週3往復で水曜と金曜、日曜に運航。航空券は5月24日午後3時から販売を予定している。片道運賃は仙台線が4290円から、福岡線が5690円から、台北線が8080円から。新路線開設により、ピーチの札幌発着路線は既存の関西線と合わせて4路線になる。
国内初のLCCであるピーチは、2012年3月1日就航。初便は関西発札幌行きMM101便だった。現在の路線数は、国内線12路線と国際線13路線の計25路線で、18機のエアバスA320型機(1クラス180席)で運航している。
新千歳空港は、2018年度に機材を夜間駐機できる「拠点化」を計画。現在の拠点は本拠地の関西空港、2014年7月19日に拠点化した那覇の2カ所で、今年9月24日からは仙台を第3拠点化する。機材数は6月に19号機(登録番号JA819P)を受領予定で、2018年度に20機体制、2020年には35機体制を目指す。
ピーチの井上慎一CEO(最高経営責任者)は、「北海道の路線をもっと増やして欲しいという要望が多かった」と、3路線を開設する理由を説明。旺盛な訪日需要を背景に「北海道を日本の北の玄関口にしたい。北海道には、知られていない魅力やコンテンツがたくさんある。旅先の真の魅力は、実際に訪れた人がそれぞれ定義するもので、千差万別の魅力がある」と語った。
新路線は観光や親族訪問のほか、コンサートツアーの追っかけや、スポーツ観戦での利用も想定しているという。目標とする搭乗率は、いずれも「75から80%」(井上CEO)とした。
発着枠の関係で、週3往復でスタートする台北線について、井上CEOは「週7往復が基本」と述べ、増便実現に向けて意欲を見せた。
「空港会社はビジネスパートナー」
井上CEOは、新千歳空港を拠点化する具体的な時期について、「さまざまな調査を進めており、まだお話できる時期ではない」と述べるにとどめた。また、2016年10月19日に拠点化を発表した際に言及した、北海道内を結ぶ路線の開設については、「検討を続けている。ひとつの路線で広い北海道をまわるのは困難だ」と、前向きな姿勢を示した。
札幌発着の国際線をピーチが開設するのは、台北線が初めて。日台双方の需要が旺盛なことから就航を決めたが、中国でも北海道は人気の観光地の一つだ。
中国への就航について、井上CEOは「上海や北京も(ピーチが就航の目安とする)片道4時間の範囲」と意欲を見せる一方、「発着枠の獲得が難しい」として、就航実現までに時間を要する現状を説明した。
また、北海道では、新千歳を含む道内7空港を2020年に民営化する動きが進んでいる。民営化への要望として、井上CEOは「航空会社と空港会社は、対立する関係ではなくビジネスパートナー、という考え方を持った民営化になってほしい。そうなると、いろいろなことができる」と期待を込めた。
「空港到着後の二次交通機関の整備などを、一緒に取り組んでもらいたい」(井上CEO)と、空港と都市部を結ぶ鉄道やバスの整備について、ビジネスパートナーの視点で課題解決に取り組む姿勢を求めた。
運航スケジュール
札幌-仙台線
札幌→仙台
MM414 札幌(12:00)→仙台(13:05)運航日:毎日
MM418 札幌(17:00)→仙台(18:05)運航日:毎日
仙台→札幌
MM413 仙台(10:00)→札幌(11:15)運航日:毎日
MM417 仙台(14:45)→札幌(16:00)運航日:毎日
札幌-福岡線
MM456 札幌(13:20)→福岡(15:50)運航日:毎日
MM455 福岡(11:45)→札幌(14:05)運航日:毎日
札幌-台北線
MM725 札幌(16:45)→台北(20:00)運航日:水金日
MM726 台北(11:00)→札幌(15:55)運航日:水金日
関連リンク
ピーチ・アビエーション
札幌3路線就航
・ピーチ、札幌-台北就航 週3往復 副社長「過度な安売りしない」(17年9月25日)
・ピーチ、札幌-福岡就航 3路線開設で拠点化前進(17年9月25日)
・ピーチ、札幌3路線就航 18年度の拠点化前進(17年9月24日)
9月に仙台拠点化
・ピーチ、仙台-札幌就航 第3拠点化、井上CEO「路線拡大する」(17年9月24日)
・ピーチ、9月に仙台拠点化 札幌・台北に新路線(17年5月17日)
特集・ピーチ井上CEO就航5周年インタビュー
後編 「ピーチ変わるな、もっと行け!」(17年3月8日)
前編 「プロ集団じゃないとLCCは成立しない」(17年3月6日)
特集・ピーチ社員から見た就航5周年(全5回)
(1)「格納庫って何ですか?」から始まった ブランドマネジメント・中西理恵の場合(17年3月14日)
(2)「お金と時間かかるFAXって何?」 システムストラテジスト、坂本崇の場合(17年3月17日)
(3)「一等航空整備士はスタートライン」 新卒1期の整備士、和田尚子の場合(17年4月10日)
(4)「A320で編隊飛行できるのはピーチだけ」 元アクロバット操縦士、横山真隆の場合(17年5月9日)
(5)「飛行機1機飛ばすって大変なんや」 客室乗務員、坂口優子の場合(17年6月8日)
ピーチ関連
・井上CEO「アジアで勝てるのはピーチだけ」 ANAHD子会社化、独自性に磨き(17年3月2日)
・ANAホールディングス、ピーチを子会社化 片野坂社長「独自性維持する」(17年2月24日)
・【スクープ】ピーチ、札幌・仙台から上海就航へ(16年11月3日)
・ピーチ、新千歳を第4拠点化へ 18年度、道内路線や国際線開設(16年10月20日)
・ピーチ、仙台線開設 LCC初の東北就航(13年4月12日)
・ピーチ初便、定員下回る162人乗せ出発 “コンビニ”のように認知されるか(12年3月1日)