全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、納入が遅れている三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」のつなぎとして、ボーイングの小型機737-800型機をリース導入する方針を固めた。4月7日の日本経済新聞が報じたもので、ANAHDは当紙の取材に対し、報道内容を一部認めた。2018年度から導入する。
MRJは2008年3月27日、ANAがローンチカスタマーとして25機(確定15機、オプション10機)を三菱重工業(7011)に発注し、事業化が決定。開発に手間取り、当初2013年だった納期は、2014年4-6月期、2015年度の半ば以降、2017年4-6月期、2018年中ごろとずれ込み、今年1月23日に5度目の延期が決まり、2020年半ばを計画している。
MRJはANAのほか、32機を確定発注した日本航空(JAL/JL、9201)など、7社から計427機を受注。内訳は、確定受注が約半数の233機で、残りはキャンセル可能なオプション契約が170機、購入権契約が24機となっている。
ANAHDは、グループで地方路線を担う傘下のANAウイングス(AKX/EH)が運航するボーイング737-500型機(1クラス126席)を中心に、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」への置き換えを計画。3月29日現在、ANAHDは737-500を17機保有している。
MRJの納入遅延を受け、ANAHDは2016年6月に、カナダのボンバルディアが製造するターボプロップ(プロペラ)機のDHC-8-Q400型機(1クラス74席)を、代替機として3機発注済み。1995年3月から導入を始めた737-500の経年化が進んでいることから、737-800をMRJの代替機として導入する。
今回導入する737-800は、4機ともリース機。ANAは3月29日現在、737-800を36機すべてを国内線で運航しており、座席数は2クラス167席(プレミアム8席、普通席159席)となっている。
ANAHDは、737-800より小型の同世代機737-700も7機保有しているが、国内線の小型機は737-800を主力としていることから、同型機を選定した。
737-800は世界的に需要があり、737ファミリーでは最多となる5051機を3月末時点で受注。これまでに4390機が航空会社やリース会社へ引き渡されており、リース機材の調達もしやすい。
ANAHDは「MRJの1日でも早い導入を待っており、納入に向けた最大限のサポートを続けていく」とコメントした。
関連リンク
ANAホールディングス
全日本空輸
ANAウイングス
三菱重工業
三菱航空機
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・「素材技術で差別化」特集・岐路に立つMRJ、問われる総合力(17年1月24日)
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