シンガポール航空(SIA/SQ)がエアバスA350-900型機を羽田空港へ就航させ、まもなく2カ月が過ぎる。初号機(登録番号9V-SMA)を2016年3月に受領し、5月に初便が就航。そして12月13日、満を持しての羽田路線への投入となった。
A350による羽田発着の定期便は、シンガポール航空が初めて。毎日3往復ある同社のシンガポール-羽田線のうち、シンガポール午前8時5分発の羽田行きSQ632便と、羽田午後4時40分発のシンガポール行きSQ633便をA350で運航している。SQ632/633便へのA350投入は当初、火曜と水曜、金曜、土曜、日曜の週5往復だったが、今年1月2日からは週7往復すべてがA350による運航になった。
座席数は3クラス253席で、ビジネスクラス42席、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス187席。ビジネスは1列1-2-1席配列のフルフラットシート、プレミアムエコノミーは2-4-2席配列、エコノミーは3-3-3席配列で、中でもビジネスは中央部にオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)がなく、開放的な客室が広がる。
シンガポール航空は開発段階からA350に携わっており、67機発注した最大のカスタマー。この中には、シンガポール発着のニューヨーク線やロサンゼルス線など、米国直行便への投入を計画している超長距離型「A350-900ULR」が7機含まれる。
A350-900のエンジンは、英ロールス・ロイスがA350専用に開発したトレントXWB-84が2基。この新エンジンと、機体の53%に使用した炭素繊維複合材などで軽量化された機体により、燃費効率はボーイング777型機との比較で25%改善され、CO2(二酸化炭素)排出量も25%削減し、機内外の騒音を抑えた。このため、離着陸時の機内も従来の機体より静かだ。
シンガポール航空の主力機材となるA350-900。各クラスのシートにはどのような特徴があるのだろうか。また、実際の乗り心地はどうなのだろうか。本記事では各クラスの概要を取り上げ、実際の乗り心地などを搭乗記でリポートする。
ビジネスクラス
フルフラットベッドとなるビジネスは、1-2-1席配列。座席幅は28インチ(71cm)、ベッドの長さは78インチ(198cm)。個人モニターは18インチで、各席にパソコン用電源や、スマートフォンなどの充電に使えるUSB端子などを完備。タッチパネルを採用したリモコンのほか、シンガポール航空のアプリをインストールしたスマートフォンを、ワイヤレスリモコンとして使えるようになっている。
デザインは英国とシンガポールを拠点として、オリエント急行の内装やシンガポール航空のA380の最上級クラス「スイート」を手掛けたJPA(ジェームズ・パーク・アソシエーツ)社が担当。製造はジャムコ(7408)の子会社ジャムコ・アメリカが手掛ける。
快適性やプライバシーを重視。シートは132度までリクライニング可能で、人間工学に基づいたクッションを採用。フルフラットポジションにした際は寝具をセットし、ベッドとして使用できる。
プレミアムエコノミー
プレミアムエコノミーは、2-4-2席配列。シートピッチは38インチ(97cm)で、レッグレストとフットレストも設けた。
個人モニターは13.3インチで、パソコン用電源や充電に使えるUSB端子、カクテルテーブル、収納スペースを用意した。
ビジネスと同じくJPAとの共同開発で、シートメーカーはゾディアック・シート・US。
エコノミークラス
エコノミーは、3-3-3席配列。従来よりも足回りを広くするなど快適性を追求し、リクライニングは最大115度とし、ヘッドレストは調節可能なものにした。
個人モニターは11.1インチ。パソコン用電源を3席に2つ設け、USB端子を各席に設置した。製造はゾディアック・シート・US。
運航スケジュール
SQ632 シンガポール(08:05)→羽田(15:35)
SQ633 羽田(16:40)→シンガポール(23:20)
*写真は22枚(外観→ビジネス→プレミアムエコノミー→エコノミーの順)。
関連リンク
シンガポール航空
Airbus
エアバス・ジャパン
・シンガポール航空のA350、羽田就航 定期便で初飛来(16年12月14日)
・シンガポール航空、3年ぶり米国直行便 A350でサンフランシスコ(16年10月25日)
・エアバス、1万機目の納入達成 シンガポール航空へA350-900(16年10月17日)
・シンガポール航空、A350 XWBを13機受領へ 16年度機材計画(16年5月19日)
・シンガポール航空、A350初号機受領 アジア2社目(16年3月4日)
・エアバス、航続距離延長型A350-900ULRローンチ シンガポール航空、米国線に(15年10月14日)
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