シンガポール航空(SIA/SQ)は現地時間2月9日、ボーイング777-9型機と787-10を合計39機発注する意向を示した。内訳は新規発注の777-9が20機、追加発注の787-10が19機で、カタログ価格で総額138億ドル(1兆5000億円)相当。また、777-9と787-10を6機ずつオプション発注しており、すべて確定発注すると51機にのぼる。
777-9は、各社が長距離国際線に投入している777-300ERの後継機「777X」ファミリーを構成する機種。777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種から成る。航続距離は777-8が8700海里(1万6110km)、777-9は7600海里(1万4075km)を計画しており、エンジンは米GE製GE9Xを2基搭載する。
ボーイングでは、777-8はエアバスA350-1000型機と競合し、777-9には直接競合する機体はないとしている。また、787との共通性を向上させるため、コックピットの改善を進めている。航空各社への引き渡しは、2020年に始まる見通し。
787-10は、787ファミリーで3機種目となる超長胴型で、初飛行は2017年、航空各社への引き渡し開始は2018年を予定。787の前部胴体は、標準型である787-8が約7メートル、787-10が約13メートルと、787-10は787-8と比べて約2倍の長さで、787ファミリー最長の機体となる。
長胴型の787-9の胴体をそのまま延長することから、ボーイングは効率性と共通性の高さをアピールする。メーカー標準座席数は2クラス構成の場合、787-9より40席多い330席。航続距離は6430海里(1万1910km)で、双通路機(ワイドボディー機)により運航されている路線の90%以上をカバーできる。
ボーイングの受注状況によると、1月末時点で777Xは306機、787-10は149機の受注を各社から獲得。シンガポール航空は、2013年6月に787-10を30機発注済みで、受領開始は2018年を予定している。
今回発注した777-9は2021年から、追加発注となる787-10は2020年から受領を計画している。
また、シンガポール航空はエアバスの最新鋭機A350-900を67機発注済みで、A350の最大顧客。2015年10月には、A350-900の航続距離を延長した超長距離型「A350-900ULR(Ultra-Long Range)」を発注し、ローンチカスタマーになっている。
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【お知らせ】
4段落目、787-10の長さを追記しました。2枚目のイラスト、キャプションを変更しました。(17年2月10日 10:31 JST)