キャセイパシフィック航空(CPA/CX)は1月8日、エアバスA350-900型機を関西空港へ就航させた。同社のA350が日本へ就航するのは初めてで、関空へのA350就航は3社目となった。
キャセイのA350の座席数は280席で、ビジネス38席、プレミアムエコノミー28席、エコノミー214席の3クラス構成。ビジネスとプレミアムエコノミーは、「ステュディオ・F.A. ポルシェ(Studio F.A. Porsche)」がデザインを手がけた。
3クラスとも、電源コンセントと充電用USB端子を備え、快適性だけではなく収納スペースにもこだわりがみられる。
ビジネスクラス
ビジネスは、全長191センチのフルフラットベッドになるタイプで、1-2-1席配列。シートを斜めに配置するヘリンボーン配列で、収納スペースを手の届く範囲に多く配置し、小物やノートパソコンなどをしまいやすくした。
シートピッチは45インチ(114センチ)で、現行のボーイング777-300ER型機に搭載されているビジネスより2インチ広くなった。シート幅は20.2インチで、個人用モニターは18.5インチとなっている。
また、ビジネスの前方ラバトリー(洗面所)は窓付きとした。
プレミアムエコノミー
プレミアムエコノミーは、2-4-2席配列。シートピッチは40インチ(102センチ)でエコノミーより8インチ広く、現行の777-300ERに搭載されているシートより2インチ広くなった。シート幅は18.5インチ、リクライニングは9インチ、個人用モニターは12.1インチとした。
レッグレストを完備し、アームレストは格納式のものを採用。キャセイのプレミアムエコノミーでは初となる、明るさを調節出来る読書灯を備えた。ビジネスと同様収納スペースも多く用意し、メガネやパスポートなどをしまいやすくした。
エコノミークラス
エコノミーは、3-3-3席配列。シートピッチは32インチ(81センチ)と国際線用機材では一般的な値で、シート幅は18インチ、リクライニングは6インチ、個人用モニターは11インチと777-300ERに搭載されているものより2インチ大型化した。
ヘッドレストを独自の形状にし、快適さを向上。タブレット端末をセットできるタブレットホルダーを設けた。
機内Wi-Fi
機内Wi-Fiサービスも完備。ウェブサイトの閲覧やSNSサービスへの投稿、電子メールの送受信などができる。動画のストリーミングサービスの視聴には適していないという。料金は、6時間以下のフライトが12.95米ドル(約1515円)、6時間を超えるフライトが19.95米ドルで、1時間のみの利用だと9.95米ドルとなる。また、スマートフォンなどによるデータ通信のローミングにも対応している。
衛星放送のテレビ番組も視聴でき、英BBCや米CNN、欧州Euronewsが各席の個人モニターで見られる。
初便は定刻出発
関空到着初便となった香港発台北経由のCX564便(A350-900、登録番号B-LRI)は、7日午後8時34分に到着。乗客は258人、乗員は13人(パイロット2人、客室乗務員11人)だった。
出発初便となるCX565便は、乗客163人(幼児1人含む)と乗員13人(パイロット2人、客室乗務員11人)を乗せ、定刻の8日午前10時45分に4番スポット(駐機場)を出発し、午前11時5分に離陸して経由地の台北へ向かった。
出発前の搭乗口付近では、空港などのイベントで恒例となったフォトフレームコーナーが用意され、乗客が記念撮影していた。
パイロット慣熟考慮し路線選定
キャセイはA350 XWBを48機発注済み。長距離国際線の主力中型機で、初号機(登録番号B-LRA)は2016年5月29日に香港へ到着した。2016年は10機受領しており、今年末までに残り12機が引き渡される見通し。2018年から2020年の間に、長胴型のA350-1000を26機受領する計画を進めている。
最初の路線は、2016年9月1日に投入した香港-デュッセルドルフ線。翌2日からは香港-ロンドン(ガトウィック)線、10月28日からは香港-オークランド線に就航している。今後は3月に香港-バンクーバー線とテルアビブ線、6月に香港-マンチェスター線に投入し、年内にローマとパリにも乗り入れを始める。
日本路線は、関空への不定期投入からスタートし、1月16日にもCX564/565便に投入。その後は、2月と3月にCX564/565便へ週1往復から週4往復の頻度で就航させるが、曜日は現段階で決まっていないという。また、2月6日から3月5日までは、香港-関西線のCX566/567便に2月から3月まで毎日投入する。
キャセイによると、A350のパイロット養成を進めているため、日本路線は1回のフライトで離着陸を直行便よりも多く経験できる経由便のCX564/565便から導入したという。
日本へのA350の初飛来は、2014年11月19日に羽田へ到着したエアバスが保有する飛行試験5号機(MSN5、登録番号F-WWYB)。定期便によるA350の日本初就航は、ベトナム航空(HVN/VN)のホーチミン-成田線で、2015年9月20日に就航。関空初もベトナム航空で、2016年10月30日にホーチミンから乗り入れた。また、定期便就航前の10月13日にも関空へ飛来している。
成田へはフィンエアー(FIN/AY)が、関空へは台湾のチャイナエアライン(中華航空、CAL/CI)も乗り入れを始めており、羽田へはシンガポール航空(SIA/SQ)が2016年12月14日に初就航した。A350を今後導入するデルタ航空(DAL/DL)も、早期の日本路線投入を示唆している。
日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が777の後継機として、A350-900とA350-1000を合わせて最大56機導入。運航開始は2019年を予定しており、777を6年程度で置き換える。
*写真は15枚。
*写真特集第1回ビジネスクラス編はこちら。
*写真特集第2回プレエコ・エコノミー編はこちら。
関連リンク
キャセイパシフィック航空
Airbus
エアバス・ジャパン
写真特集・キャセイパシフィック航空A350-900
ビジネスクラス編 収納と快適性こだわったヘリンボーン配列(17年1月14日)
プレエコ・エコノミー編 ダークグリーンで統一(17年1月16日)
操縦室・ギャレー編 ギャレーに大きなテーブル、操縦席は大型画面(17年2月19日)
キャセイパシフィック航空のA350
・キャセイパシフィック航空、A350初号機受領(16年5月30日)
日本へのA350就航
・シンガポール航空のA350、羽田就航 定期便で初飛来(16年12月14日)
・ベトナム航空、関空にA350就航 放水アーチで歓迎(16年10月30日)
・デルタ航空、A350を日本早期投入 ドア付き個室の新ビジネス(16年10月20日)
・フィンエアー、成田線にA350投入 17年6月から(16年10月11日)
・ベトナム航空のA350、成田初飛来 商業飛行では日本初(15年9月20日)