全日本空輸(ANA/NH)などが加盟する航空連合「スターアライアンス」のマーク・シュワブCEO(最高経営責任者、64)は12月15日、今月末での退任を前に都内でAviation Wireなどの取材に応じた。
—記事の概要—
・中国とインド、ラテンアメリカ注力
・増えるJV、アライアンス「重要性変わらない」
中国とインド、ラテンアメリカ注力
スターアライアンスは、1997年5月14日にエア・カナダ(ACA/AC)とルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)、スカンジナビア航空(SAS/SK)、タイ国際航空(THA/TG)、ユナイテッド航空(UAL/UA)の5社で発足。日本ではANAが1999年に加盟し、現在の加盟社数は28社に拡大しており、1日あたり1万8450便が190カ国1300空港に就航する最大規模の航空連合(アライアンス)となった。
ユナイテッド航空出身のシュワブCEOは、2011年12月14日にスターアライアンスのCEOに任命された。今月末で退任するシュワブCEOは、「需要増加が見込める中国やインド、ラテンアメリカに注力した」と任期を振り返った。
日本国内でのスターアライアンスの動きは、今年はハブとする成田空港第1ターミナル南ウイングのチェックインカウンターを、加盟各社が集結した2006年以来10年ぶりに刷新。これまでファーストクラスやビジネス、エコノミーと搭乗クラス別の共用チェックインカウンターだったが、今年6月2日からは航空会社別に変更した。
シュワブCEOは、「10年前のオープン時にも日本にいた。それ以降スターアライアンスの加盟社は増え、日本路線を飛ばすようになった。10年前と比べて、成田を使う人は100万人増えている。当時は十分な広さだと思ったが、今は拡張をお願いしなければならないほどだ」と語った。
日本市場についてシュワブCEOは、「中国やインドと比べれば成長していないが、東京を経由する旅客は増えている。ハブとして重要だ」と述べた。
増えるJV、アライアンス「重要性変わらない」
一方、アライアンス加盟社内では個別に共同事業(JV)を展開し、共通運賃の設定や乗り継ぎの改善など提携関係を強化する事例が増えている。ANAの場合、2011年4月から北米路線でユナイテッド航空と、同年10月から欧州路線でルフトハンザとJVを始めている。
シュワブCEOは、「航空会社は運航スケジュールなどで連携したい。以前は5つのJVしかなかったが、20に増えた」と現状を説明した。
「JVによる協力関係が、アライアンスの結束力につながる。JVは地域が限定されるが、アライアンスは全世界が対象。アライアンスの重要性は変わらない」(シュワブCEO)との考えを示した。
シュワブCEOはスターアライアンスのCEOを退くと共に、42年間の航空会社生活に終止符を打つ。後任には、スターアライアンスのCOO(最高執行責任者)兼法務顧問のジェフリー・ゴー氏(47)が2017年1月1日付で就任する。ゴー氏はマレーシアのクアラルンプール出身で、2007年にIATA(国際航空運送協会)からスターアライアンスへ転じた。
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