満月が通常よりも大きく見える「スーパームーン」となった11月14日、日本航空(JAL/JL、9201)はスーパームーン観賞の成田発着チャーター便を運航した。宮城と熊本両県の小学生をはじめ112人を招待し、仙台上空で旋回する機内から大きな満月を楽しんだ。
参加したのは一般公募の当選者44人と、宮城と熊本の小学生68人の計112人。小学生は宮城・南三陸町立入谷小学校から28人、熊本・御船町立御船小学校など熊本県内6校から40人を招待した。
JALは2015年10月、日本初の民間月面探査チーム「ハクト」とコーポレートパートナー契約を締結。これにより今回のチャーター便を運航した。
チャーター便の便名はハクトにちなみ、JL8910便(ボーイング767-300ER型機、登録番号JA604J)と名付けられた。同便は午後4時35分に成田を出発。宇都宮と山形を経由し、仙台上空で旋回しながらスーパームーンを観賞した。
成田では厚い雲が立ちこめ、天候に恵まれなかったが、子供たちは仙台上空の雲上からスーパームーンを観賞。普段よりも大きく見える満月を楽しんだ。子供だけでなく、保護者もスマートフォンやムービー、コンパクトカメラなどで撮影する姿が見られた。仙台からは福島と水戸の上空を飛行し、成田へは午後6時30分に帰着した。
神奈川県から参加した親子は航路予定図を見ながら、「せっかく仙台まで行くのに、引き返すのはもったいないね」と笑いながら話すなど、通常では体験できない搭乗を楽しんだ様子だった。
ハクトは国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エクスプライズ、GLXP)」に日本で唯一挑戦する月面探査チームで、アイスペース(東京都港区・袴田武志社長)が運営。月面探査機「ローバー」と、JALが運航する787がともに炭素繊維を採用していることが契機となり、支援が決まった。
スーパームーンは通常よりも満月が大きく見える現象で、2016年は11月14日が最大。国立天文台によると、最小だった4月22日と比較すると直径で約14%、面積で約30%大きく見えるという。
今回のスーパームーンは1948年1月26日以来、68年ぶりの大きさとなった。国立天文台によると「スーパームーン」は天文学の正式用語ではなく、定義もはっきりしていないという。約70年ぶりの大きさとあって、「エクストリーム・スーパームーン(究極のスーパームーン)」などとも呼ばれている。
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