中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社は11月9日、ボーイングから寄贈された787-8型機の飛行試験初号機(ZA001、登録番号N787BA)について、複合施設を建設し、2018年夏をめどに一般公開すると発表した。機体の展示エリアと飲食や物販の商業エリアの複合施設で、米国外では初の常設となるボーイングのグッズショップも入居する。
*787の展示施設への移動の様子はこちら。
─記事の概要─
・3階建て複合施設「Flight of Dreams」
・友添社長「初号機セントレアにしかない」
・ゲリー社長「初号機で次世代パイオニア育成」
3階建て複合施設「Flight of Dreams」
複合商業施設「Flight of Dreams」(フライト・オブ・ドリームス)は、整備を進めているLCC用の新ターミナルビルと、愛知県が建設を予定するコンベンションセンターとの間に建設する。開港以来更地となっている、空港敷地内への建設を予定している
建物は地上3階建てで高さ24メートル。建築面積は5000平方メートル、延床面積は1万平方メートル。1階が機体をはじめ、製造工程や飛行機が飛ぶ仕組みなどを学べる展示エリアとし、2階と3階をフードコートなどが入居する商業施設にする。展示エリアへの入場は有料とする。
展示エリアでは、ボーイングの最終組立工場のバーチャル体験や、モニターを用いてエンジンの内部を紹介するインタラクティブ展示などを展開する。子ども向けには、自分で描いた機体の絵が画面に映し出される「お絵かき飛行機」などのコンテンツを用意する。
これらの体験型コンテンツは、デジタルコンテンツを手がけるチームラボ(東京・文京区)がプロデュースする。
商業エリアは、ボーイング設立の地・シアトルの街並みをイメージ。飲食やグッズなどを販売する。中部国際空港会社の友添雅直社長によると「シアトルの企業を誘致している」と話したものの、企業名の明言は避けた。
このほかフードコートエリアも整備し、シアトルを中心とした米国グルメを提供。キッチンは7つ。1階に展示する機体を眺められるにし、エンジンを模したペアシートを設置。翼の真下で飲食できるようにする。3階の連絡通路では物販を展開し、LCCターミナルとコンベンションセンターと接続する。
飲食や物販は、Flight of Dreamsの利用者のほか、LCCターミナルとコンベンションセンターの利用客向けにも展開する。
Flight of Dreamsは日建設計(東京・千代田区)が設計。施工者は未定で公募する。2017年1月から2月にかけ、商業概要・公募説明会を実施して事業者を選定後、4月をめどに建物を着工する。2017年冬には、施設へ機体を移動させる。
友添社長「初号機セントレアにしかない」
787は機体の構造部位のうち、主翼など35%を日本企業が中部地域で製造。セントレアからは、747-400を改造した大型輸送機「ドリームリフター」で、主翼や胴体など大型部位を輸送している。
航空機産業は裾野が広く、1機あたり100万から300万点の部品で構成する。友添社長は「航空機産業の関係者と協力し、楽しいコンテンツを用意したい」とし、国の航空産業発展に貢献したいと話した。
友添社長は「空港は通過点だけでなく、来て楽しめるところにすることが重要」と述べた。「楽しめる空間にすることで、経営的にも集客に繋がり、持続的に発展する」とし、「787初号機はセントレアにしかないもの。特徴になる」と話した。
ゲリー社長「初号機で次世代パイオニア育成」
ボーイング・ジャパンのブレット・ゲリー社長は787の構造部位35%を中部地域で製造していることを例に挙げ、「787の設計・製造に尽力した中部地域に、初号機が里帰りするのは理にかなっている」とし、「ZA001はこれまで、飛行試験機としての役割を果たしてきた。今後は航空産業の次世代のパイオニアを育成することが仕事だ」と述べた。
また、ボーイングのグッズショップ「ボーイングストア」を、米国外では初めて常設すると発表した。
セントレアへ寄贈された787-8は、最初に製造された記念すべき787で、2015年6月22日にシアトルから到着。同年7月7日に贈呈式が開かれた。
関連リンク
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