全日本空輸(ANA/NH)は10月30日、羽田-ニューヨーク線を開設した。この日に始まった冬ダイヤから、米国路線の昼間時間帯発着枠が配分されたことによるもので、初便のニューヨーク行きNH110便は、午前10時22分に乗客乗員222人を乗せて羽田を出発した。
羽田と成田からNY
ニューヨーク線はボーイング777-300ER型機で運航。座席数は212席で、ファースト8席、ビジネス68席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー112席の4クラスとなる。
運航スケジュールは、ニューヨーク行きNH110便は羽田を午前10時20分に出発し、午前9時に到着。羽田行きのNH109便はニューヨークを午後4時55分に出発し、翌日午後9時10分に到着する。
同路線の開設に伴い、1日2往復運航していた成田-ニューヨーク線のうち、成田を午前に出発するNH10便と、成田へ夜に到着するNH103便を10月29日運航分で休止。これまで午後に成田を出発していたニューヨーク行きNH104便を、NH10便に便名変更した。
羽田発初便となったNH110便(777-300ER、登録番号JA786A)は、乗客206人(うち幼児1人)と乗員16人(パイロット3人、客室乗務員13人)とほぼ満席で、羽田の108番スポットを午前10時22分に出発。C滑走路(RWY34R)から同39分に離陸し、ニューヨークへ向かった。
出発前にはジャズピアニストの小曽根真さんが、就航を記念したオリジナル曲を搭乗口前で披露。乗客には搭乗証明書などの記念品が手渡された。
アジア深夜便で北米から接続
国土交通省と米国運輸省(DOT)は2月、昼間時間帯の羽田からの米国路線就航について協議し、日米双方に対し昼間時間帯に5便(往復)ずつ、深夜早朝時間帯に1便(往復)ずつ配分することで合意した。
これを受けて国交省は4月、昼間帯5枠の米国路線発着枠をANAに3枠、日本航空(JAL/JL、9201)に2枠を配分。新設した深夜早朝枠もANAに配分し、6枠のうちANAに4枠、JALに2枠と傾斜配分した。
ANAは発着枠の配分を受けたことでニューヨーク線のほか、1日2往復だった成田-シカゴ線を1往復に半減し、羽田-シカゴ線を1日1往復で新設。シカゴ行きNH112便は羽田を午前10時50分に出発する。これまで深夜便だったホノルル線は出発時刻を早め、羽田発NH186便は午後9時55分に出発するようになる。一方、ロサンゼルス線はこれまで通り深夜便とし、ロサンゼルス行きNH106便は午後10時55分に羽田を出る。
機材はシカゴ線とロサンゼルス線が、777-300ERの250席仕様機で、ファースト8席、ビジネス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー166席の4クラス構成となる。ホノルル線はボーイング787-9型機を使用する。
シカゴ線やロサンゼルス線は乗り継ぎ需要が見込まれることから、同じ777-300ERでも座席数が多い機材を投入した。
ANAの篠辺修社長は、ニューヨーク線とシカゴ線について「米国でも需要の多い路線。成田と羽田で首都圏の利用者にとっては選択肢が増え、地方から羽田で接続する便利な路線」とアピールした。
また、羽田での北米とアジアの接続について、「アジアは深夜便を含めて接続があるので、羽田でも北米とアジアがつながったことは意義深い」と、成田とともに羽田を北米とアジアを結ぶハブとしていく考えを述べた。
ANAは、米国路線でユナイテッド航空(UAL/UA)と共同事業(JV)を展開。接続時間や運賃などで連携している。「特にシカゴ線はユナイテッドのハブなので、全米へ飛べる」(篠辺社長)と、ビジネス需要に期待を寄せた。
国交省で発着枠の日米交渉を担当した平垣内久隆・航空局次長は、「羽田の国際線はアジアに近いところから始まり、アジアの中長距離、欧州と就航したが、米国だけが交渉の関係で実現していなかった。今回の米国路線就航で、羽田から世界へのネットワークが完成した」と感慨深げに語った。
今回のANA便就航により、羽田からは38社が世界31都市へ乗り入れる。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け、平垣内次長は「羽田の国際線は2020年に向けて発展していく。インバウンド(訪日)増加にも貢献する」との考えを示した。
運航スケジュール
羽田-ニューヨーク
10月30日から11月5日、17年3月12日から25日
NH110 羽田(10:20)→ニューヨーク(10:00)
NH109 ニューヨーク(17:55)→羽田(翌日21:10)
11月6日から17年3月11日
NH110 羽田(10:20)→ニューヨーク(09:00)
NH109 ニューヨーク(16:55)→羽田(翌日21:10)
羽田-シカゴ
10月30日から11月5日
NH112 羽田(10:50)→シカゴ(08:35)
NH111 シカゴ(17:25)→羽田(翌日20:30)
11月6日から17年3月11日
NH112 羽田(10:50)→シカゴ(07:40)
NH111 シカゴ(16:15)→羽田(20:30)
17年3月12日から25日
NH112 羽田(10:50)→シカゴ(08:35)
NH111 シカゴ(17:15)→羽田(翌日20:30)
羽田-ロサンゼルス
10月30日から11月5日、17年3月12日から25日
NH106 羽田(22:55)→ロサンゼルス(16:50)
NH105 ロサンゼルス(00:50)→羽田(翌日05:00)
11月6日から17年3月11日
NH106 羽田(22:55)→ロサンゼルス(15:50)
NH105 ロサンゼルス(00:05)→羽田(翌日05:05)
羽田-ホノルル
10月30日から12月31日
NH186 羽田(21:55)→ホノルル(10:05)
NH185 ホノルル(13:10)→羽田(翌日17:25)
17年1月1日から3月25日
NH186 羽田(21:55)→ホノルル(09:55)
NH185 ホノルル(12:55)→羽田(翌日17:25)
運休(10月30日から)
成田-ニューヨーク
NH10 成田(11:00)→ニューヨーク(10:45)
NH103 ニューヨーク(18:05)→成田(翌日21:00)
*NH104便(16:40成田発)はNH10便に便名変更
成田-シカゴ
NH12 成田(10:45)→シカゴ(08:25)
NH113 シカゴ(17:25)→成田(翌日20:20)
*NH114便(17:10成田発)はNH12便に便名変更
関連リンク
全日本空輸
・ANA篠辺社長、羽田2タミへの国際線就航「有力な選択肢」(16年10月30日)
・米運輸省、羽田昼間便を正式決定 ミネアポリスなど5路線(16年9月5日)
・ANAの羽田便、10月30日から ニューヨークとシカゴ、午前10時台発(16年6月29日)