三菱航空機が開発を進めている国産ジェット旅客機「MRJ」の飛行試験初号機(登録番号JA21MJ)が現地時間9月28日午後5時44分(日本時間29日午前9時44分)、飛行試験の拠点となる米国モーゼスレイクへ到着した。米国へのフェリーフライト(空輸)は、3度目の挑戦で成功した。
これまでは県営名古屋空港(小牧)で飛行試験を進めてきたが、2018年の型式証明(TC)取得に向け、北米で飛行試験を多頻度で実施し、開発を加速させる。
初号機は26日午後1時28分に小牧を出発。整備や給油作業を行う新千歳空港には、同日午後2時59分すぎに着陸した。
新千歳を出発する27日朝は、クルーたちが機体の前で記念撮影して初号機に乗り込んだ。新千歳からはロシアのカムチャツカ半島と米国アラスカを経由し、ワシントン州モーゼスレイクのグラントカウンティ国際空港へ向かった。
フェリーフライトは今回で3度目の挑戦。8月に出発した際は、27日と28日に2日連続で空調システムの監視装置に不具合が発生し、小牧へ引き返した。
三菱航空機では9月25日、飛行試験4号機(JA24MJ)が初飛行に成功。5機ある飛行試験機のうち、初号機と2号機(JA22MJ)に続き、3機が飛行試験に投入できるようになった。年内に初号機から4号機までの4機をモーゼスレイクへ持ち込む計画を進めており、残る3号機(JA23MJ)は、10月に初飛行する見込み。
ローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)への量産初号機の引き渡しは、2018年中ごろを予定している。MRJは8月31日に正式契約した米エアロリースの発注により、ANAや日本航空(JAL/JL、9201)など計7社から427機(確定発注233機、オプション170機、購入権24機)を受注している。
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三菱航空機
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