エアライン, ボーイング, 機体 — 2016年9月9日 09:16 JST

ANAの787エンジン問題、ロールス・ロイス社長「17年初頭に改良型」

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)が運航するボーイング787型機で起きたエンジン不具合について、製造元であるロールス・ロイス(RR)のエリック・シュルツ社長は現地時間9月8日、両社が問題解決に向けて協力するとともに、不具合が起きた中圧タービンブレードの改良型を、2017年初頭から供給するとの声明を発表した。RRの経営トップが改良型ブレードの供給時期に言及したのは初めて。

トレント1000の改良型中圧タービンブレードを17年初頭から供給するロールス・ロイス=15年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 トラブルが起きたのは、787に左右1基ずつ計2基搭載されているRR製エンジン「トレント1000」。エンジン内で、燃焼ガスを発生させるために必要な圧縮空気を送り出す圧縮機を回す「中圧タービン」のニッケル合金製タービンブレードが破断するトラブルが発生した。

 RRは、2017年1月にも対策を施した改良型タービンブレードの供給を開始予定。ANAが現在保有する全50機の787用エンジン100基については、3年後の2019年末までにすべて改良型に交換する。

 改良型の供給が始まるまでは、新品や飛行回数が少ない現行品に規定より早く交換することで、トラブル発生を防ぐ。

 最初に起きたトラブルは、今年2月22日のクアラルンプール発成田行きNH816便(787-8、登録番号JA804Aの右エンジン)で、2件目は3月3日のハノイ発羽田行NH858便(787-8、JA807Aの右エンジン)で発生。その後、8月20日に国内線の羽田発宮崎行きNH609便(787-8、JA825Aの右エンジン)でも起きた。RRは当初、国内線では発生しない不具合であるとANAに説明していた。

 いずれもトラブルが発生したエンジンをパイロットが手動で停止し、出発空港へ緊急着陸している。787は短時間であれば、使用出来るエンジンが1基だけでも最寄りの空港まで飛行出来る。

 シュルツ社長は、「東京でANAの幹部と会談した。可能な限り早く通常運航出来る状況に戻すようよう、両社は緊密に連携して取り組んでいく。改良型ブレードは2017年の初めに投入する」とコメントした。

関連リンク
Rolls-Royce
全日本空輸

ANAの787エンジン不具合、ロールス・ロイスが改良型ブレード供給開始(17年1月27日)
ANAの787エンジン、19年末までに改良型へ メキシコ用新型は計画通り(16年8月31日)
ANA、9月15日まで欠航なし 遅延は1便、787エンジン不具合(16年8月29日)
ANA、羽田-伊丹など9便欠航 31日まで、787エンジン不具合で(16年8月26日)
ANAの787「本当に大丈夫?」相次ぐトラブル、利用者から不安の声(16年8月26日)
ANAの787、エンジン不具合で一部欠航 離陸直後にブレード破断(16年8月25日)