エミレーツ航空(UAE/EK)は9月5日、日本路線の上級クラスで提供する和食の新メニューを報道関係者に披露した。ファーストクラスでは懐石料理のコース、ビジネスクラスでは松花堂弁当を提供し、食器は高級陶磁器ブランド「ノリタケ」とコラボレーションしたものを使用する。
国産野菜を使用
エミレーツ航空の日本路線は羽田と成田、関西空港とドバイを結ぶ3路線。新しい和食メニューの開発では、同社唯一の日本人シェフで、温かいメニューを担当する「ホットキッチン」の佐藤竜太副総料理長のチームが、新たに提携した日本のケータリング会社ゲートグルメジャパン(成田市)と共同で手掛けた。
ファーストクラスは懐石料理のコースで、前菜、焚合(たきあわせ)と焼き物、止め椀の味噌汁、水菓子、甘味の番にサービスし、軽食として寿司も用意。ビジネスクラスは小鉢や台の物、そば、和菓子が入った松花堂弁当と、軽食は寿司の盛り合わせを提供する。食器は雅(みやび)をテーマに、ノリタケとのコラボによる特注品を用意した。
エミレーツ航空では、機内食に各就航地の食文化を採り入れながら、独自性を出すことを重視している。新メニューのコンセプトについて、佐藤シェフは「新しく、ユニークなものを考えた。日本人だけではなく、外国人にも和食を紹介できる機会になるものを目指した」と話す。
食材についても、日本発便では国内で取れた野菜やフルーツを主に使用。日本発便の機内食調理を手掛けるゲートグルメでは、近隣の農家から新鮮な野菜を調達している。
ハラールでも和食
新メニューはイスラム教徒(ムスリム)でも食べられるよう、ハラールの調理方法や食材で調理。豚肉や、和食の味付けで重要な役割を果たす日本酒、みりんが使えないなどの制約がある。
佐藤シェフは「まったく同じ味は難しいが、うまく調整して近づけるよう努力している」と話す。ハラール認証を得たアルコール類を使わないしょうゆや味噌が増えてきたことも、味を近づけやすくなった理由のひとつだという。
年4種類のメニューへ
エミレーツ航空は毎年4月にメニューを刷新。今回の和食は7月から新メニューがスタートした。従来は3カ月ごとにメニューを替えていたが、今回からは1カ月ごとに「サイクルA」と呼ばれる偶数月用と、奇数月用の「サイクルB」のメニュー2種類を交互に提供していく。
このため、7月に提供を開始した和食の新メニューは「サイクルB」からのスタートとなった。今後は4種類にメニューを増やし、多頻度で利用する乗客の満足度を向上させる。
アルコール類についても、ファーストとビジネスクラスでは日本酒は「南部美人」の特別純米酒を用意。ビールも外国産のほかにアサヒビールが加わった。
ニック・リース日本支社長は、「400人を超えた日本人の客室乗務員だけではなく、日本路線に乗務するすべての客室乗務員に、和食の提供方法もきちんとトレーニングしている」と、日本路線での取り組みを説明した。
「今では世界最大手の航空会社に成長したが、地域ごとのニーズに合わせたサービスを止めたわけではない」と述べ、「最近アフリカで日本人が多く出席する会議が開催された際、ドバイ-ナイロビ線でも和食を提供し、日本人客に帰国便で大変喜ばれた」(リース支社長)と事例を紹介。今回和食の新メニュー導入を契機に、「サービスの水準をさらに高めていきたい」と語った。
エミレーツ航空は日本市場を重視する戦略を打ち出しており、2015年6月には日本初の専用ラウンジを成田に開設している(関連記事)。
関連リンク
エミレーツ航空
・エミレーツ、成田に豪華専用ラウンジ 特集・日本重視のエミレーツ航空(15年7月12日)
・エミレーツ航空、羽田就航 777-200LRで深夜便(13年6月4日)
・超豪華エミレーツ航空のA380、シャワーも使えるファーストクラス(12年7月3日)
・エミレーツ航空のエコノミー、シート幅はプレエコ並み(12年7月16日)