成田空港周辺自治体の一つである千葉県の横芝光町で7月23日、第3滑走路の実現に向けて地元有志による「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」が勉強会を開いた。
勉強会には講師として、元毎日新聞成田支局長でフリーライターの佐藤仁志さんや、成田を拠点とするLCCのバニラエア(VNL/JW)の五島勝也社長、成田市生まれの一橋大学大学院商学研究科の山内弘隆教授が招かれた。
有志の会の会員でもある佐藤さんは、飛行機が飛ぶ原理や成田空港と羽田空港の発着回数、今後の航空需要の増加について説明。第3滑走路が空港南東側に建設された場合、どの程度騒音が発生するかを会員が作った騒音コンター(輪郭線)を基に予想した。騒音コンターは、同じ騒音レベルの地点を天気図の等圧線のように結んだもので、今回示したものは、過去に発表された成田の騒音値を基に作ったという。
横芝光町は成田空港のおよそ南南東に位置し、九十九里浜に近い。北風運用時は着陸機が、南風運用時は離陸機が上空を通過する。佐藤さんは「発着回数も増え、低騒音機の導入が進んでいるので単純比較は出来ないが、アタリをつけることは出来る」として、「秋の(国や空港会社、自治体などによる)4者協議会では、騒音コンターなど具体的な提案が出てくるだろう。住民はいろいろ考えることがある」と指摘した。
ANAホールディングス(9202)の100%子会社であるバニラエアの五島社長は、ANAグループにおけるLCCや同社の位置づけを説明。LCCが低価格運賃を提供する上でコストの抑制は不可欠として、運用時間の延長や混雑時間帯の発着枠拡大、空港使用料の引き下げ、深夜早朝便の利用者が空港へ向かう際や帰宅する際の鉄道の運行など、成田空港が発展していく上で環境整備が不可欠だと訴えた。
成田空港は、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。第3滑走路は、欧州便の出発が集中する昼前後の慢性的な混雑などの解決策として、建設が検討されている。
2015年度の国際線と国内線を合わせた総発着回数は、前年度比3%増の23万5190回。4年連続で前年度を上回り、過去最高を記録した。
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