7月11日にロンドン近郊で開幕したファンボロー航空ショー。ヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)はこの日、エアバスの大型機A350-1000を12機発注。現行の長距離国際線機材であるボーイング747-400型機とエアバスA340-600型機を、2019年から置き換える計画だ(関連記事)。
投入路線はロンドン(ヒースローとガトウィック)発着の国際線で、当初はヒースローと米国主要都市を結ぶ路線に就航させる。
一方、1989年5月2日に就航した成田-ロンドン線は、2015年2月1日を最後に惜しまれつつも撤退。2014年には成田から羽田へ就航空港を移し、787-9を投入する計画を立てていたが、路線網見直しやデルタ航空(DAL/DL)との大西洋路線の共同事業強化により撤退となった。
かつて成田へ就航していたA340よりも燃費の良いA350-1000導入により、東京便復活の可能性はあるのだろうか。
ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長はAviation Wireの取材に対し、「東京は大好きだし、長年飛んできたので復活させたいが、英国の発着枠はブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)が優位で、新たに獲得するのは難しい」と述べ、貴重な発着枠を有効活用できる採算性の高い路線に注力する方針を示した。
クレイグ・クリーガーCEO(最高経営責任者)は、「羽田に就航する場合、成田にも飛ばさなければならない」と、いわゆる「成田縛り」も影響していると補足した。
成田縛りとは、羽田から航空会社が国際線を運航する場合、成田からも同じ国へ向かう便を残すという、国土交通省航空局(JCAB)や自治体と航空会社間の法的根拠のない取り決めだ。
ヴァージンが運航していた成田-ロンドン線は、全日本空輸(ANA/NH)がコードシェアを実施していた。成田縛りに従った場合、ロンドン線を羽田発着に移したANAはヴァージン撤退後、自社便などで成田発着の英国便を運航しなければならない。しかし、乗り入れるロンドンのヒースロー空港は発着枠に余裕がないなどの事情もあり、ANAのロンドン線は羽田のみとなっている。
運航コストよりも大きな課題となっている発着枠や成田縛り。これらがクリアされた際、大西洋路線へシフトしたヴァージンは果たして日本の空へ戻るのだろうか。
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ヴァージン アトランティック航空
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