日本航空(JAL/JL、9201)にとって25機目のボーイング787-8型機(登録番号JA845J)が7月1日夕方、成田空港に到着した。これにより、JALが発注した787-8は完納となった。
787のローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)の787-8も、発注済み36機の最終号機(JA878A)が5月14日に羽田へ到着しており、国内の航空会社がこれまでに発注した787-8は、今回のJAL機到着ですべて揃った。
JA845Jの初便は6日のヘルシンキ行きJL413便で、成田空港の92番ゲートを午前10時33分に出発した。今後は787-8が投入されている国際線のうち、主に中長距離路線を担う。
—記事の概要—
・30機がスカイスイート仕様
・おしぼりも乾きにくい
・写真31枚
30機がスカイスイート仕様
JALは2004年12月22日、当時7E7と呼ばれていた787の導入を決定。現在の確定発注機数は、標準型の787-8が25機、長胴型の787-9が20機の計45機で、エンジンはともに米GE製GEnx-1Bを選定した。
7月1日に到着したJA845Jは、サウスカロライナ州ノースチャールストン工場製で、6月30日に受領。JALの787としては29機目となった。ビジネスクラスをフルフラットシートにした新仕様機「スカイスイート787」で、座席数は3クラス161席(ビジネス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー88席)となる。
JALが受領済みの787は、787-8が今回の到着機を含めて25機、787-9は4機で計29機。787-8は2012年3月25日に初号機(JA825J)を受領以来、4年3カ月で発注分がすべて揃った。
JALが運航する787の仕様は大別すると3種類。787-8は2種類あり、初号機を含む15機(JA821J-835J)が、「E01」と呼ばれる2クラス186席仕様(ビジネス42席、エコノミー144席)で、16機目(JA837J)から今回受領した25機目までの10機(JA836J-845J)は、スカイスイート787(E11仕様)に変更された。
787-9は、当初からスカイスイート仕様で、3クラス195席(ビジネス44席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー116席)。787-8のスカイスイート787と同じシートを採用するが、34席増えた。
JALが確定発注した45機の787のうち、スカイスイート仕様は787-8と787-9を合わせて30機にのぼり、大半がこの仕様になる。時刻表での表記は、初期の787-8が「788」、スカイスイート仕様の787-8が「SS8」、同787-9が「SS9」となっている。
シート以外を見ると、全クラスのラバトリー(洗面所)に、スカイスイート仕様の787-8と同じく温水洗浄機能付き便座「ウォシュレット」を装備。無線LANによる機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」にも対応している。
そしてコックピットには、高度や速度などの情報がパイロットの正面に映し出される「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」が標準装備され、操縦性を向上させている。
おしぼりも乾きにくい
JA845Jは、チャールストンを現地時間6月30日午後2時50分に出発し、午後3時10分に離陸。日本時間7月1日午後5時30分に成田空港B滑走路(RWY16L)へ着陸し、同43分に803番スポットへ到着した。
成田までのフェリーフライト(回送)は、コックピット左席を荒川里留機長と印南多加史機長、右席を松木猛機長と橋本秀則副操縦士が交代で担当した。4人とも787へ移行前は777の操縦桿を握っていた。
787導入当初から領収に立ち会ってきた印南機長は、「機数を重ねるごとに、引き渡しも順調になっていきました。4年で25機はあっという間でした」と振り返る。
導入から4年が経過した787の印象を、4人に尋ねた。747クラシックから747-400、777と乗り継いできた松木機長は「自動化が進み、かゆいところに手が届くようになりましたね」と機体の進歩を指摘する。DC-10から777を経た荒川機長は「快適になりました。身体が楽になった気がします」と、機内が乾燥しにくくなったメリットを感じているようだった。
橋本副操縦士も「おしぼりが乾きにくくなりました。あとはHUDですね。操縦が楽です」と、機内の快適性が向上した恩恵はパイロットも享受しているようだ。そしてMD-11、777と乗り継いだ印南機長は「787-8は全長(56.69メートル)と全幅(60.17メートル)がほぼ一緒なので、ずんぐりしてますね。胴体が伸びた787-9はかっこよくなりましたよ」と、787-9のスタイルが好みのようだった。
*写真は31枚。
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