女性をはじめとする多様な人材活用を目指し、日本航空(JAL/JL、9201)は、女性活躍支援の研究組織「JALなでしこラボ」を展開している。JALグループ全体で男女を問わず、組織横断的に課題の共有や人材活用の可能性を探り、研究成果をグループで共有している。
なでしこラボでは、ダイバーシティ(多様性)やワークスタイル変革など、他社の取り組みについて理解を深めるための講演会を企画。社外から講師を招いた講演会「JALなでしこフォーラム」を5月30日、東京・品川のJAL本社で開催し、100人以上のJALグループ社員と異業種交流を図った。
講師役を務めたのは、両備ホールディングス(岡山市)の執行役員で、両備スカイサービスカンパニー長の槙尾恵氏。槙尾氏は自身の活動や取り組みなどを紹介した。
槙尾氏は2007年7月、女性が中心となって運営するタクシー会社、両備グレースタクシーに営業本部長として出向。従業員数0人から、同年12月の開業にこぎ着けたという。
同社タクシー運転手はすべて女性で、社内では運転手ではなく「グレース(思いやり、おもてなし)スタッフ」と呼び、地域に根付いたサービスを展開。一例として、保育園児の送迎サービスや、スーパーや商店が近くにない、いわゆる「買い物難民」向けに商品を購入し配送するサービス、妊産婦の送迎サービスなど、女性ならではのサービス展開を紹介した。
槙尾氏は両備グレースタクシー在籍時に、他社が実行しないことに挑戦することや、最後まで即時性を持って成し遂げることなどを学んだという。その上で、女性がキャリアを築くためには、家族などの協力が必須とし、子育てや家庭、仕事を両立するためには、「家族を巻き込むことが重要」と話した。
槙尾氏は現在、岡山空港でカウンター業務やグランドハンドリング業務などを担う両備スカイサービスカンパニーで、カンパニー長を務めている。
なでしこラボの担当役員を務める大川順子専務は、初となる異業種交流を終えて、「社外の取り組みを知ることで、(自社の)企業価値向上に繋がる」と述べ、手応えがある様子を見せた。
また、なでしこラボで取り組んでいる「男女双方の意識改革」と「ワークスタイルの変化」についても言及。時間や場所に縛られない働き方を男女双方で取り入れ、意識改革が進んでいる、との認識を示した。具体例として2015年度下期の残業時間が前年同期比で20%減になった事例を紹介し、「集中していい仕事をする風土に変わってきている」と話した。
女性活躍支援の研究組織「JALなでしこラボ」
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・JALの女性活用「優遇ではなく育成を」 上司にも変化促す(15年7月13日)
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経産省と東証、2年連続で「なでしこ銘柄」選出
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