エアバスのファブリス・ブレジエCEO(最高経営責任者)は現地時間5月31日、大型機A350 XWBのうち、胴体がもっとも短いA350-800は開発しない方針を示した。
—記事の概要—
・2社16機のみ
・大型機市場に照準
2社16機のみ
A350 XWBは3機種で構成。座席数はメーカー標準の3クラス仕様で短胴型のA350-800が280席、標準型のA350-900が325席、長胴型のA350-1000が366席となっている。
A350-900の量産初号機(登録番号A7-ALA)は、2014年12月にカタール航空(QTR/QR)へ引き渡され、5月末時点で6社がA350-900を24機を運航。A350-1000は、2017年4-6月期から納入開始を予定している。
4月末時点で、A350 XWBは世界42社から798機受注。内訳はA350-800が全体の2%となる16機、A350-900が75%の601機、A350-1000が23%の181機と、A350-800が占める割合はごくわずかだ。
A350-800の受注は2011年12月末には118機あったが、2012年末に92機、2013年末に56機、2014年末に16機と減少。現在の16機はアエロフロート・ロシア航空(AFL/SU)とアシアナ航空(AAR/OZ)の2社が8機ずつ発注したもののみとなっている。
大型機市場に照準
エアバスは2014年7月、中型機A330に英ロールス・ロイス社製新型エンジン「トレント7000」を搭載した発展型のA330neoをローンチ。A330-800neoとA330-900neoの2機種構成で、現行のA330-200とA330-300の後継となる。
メーカー標準座席数は、A330-800neoが3クラス257席、A330-900neoが287席で、客室装備もA350と同等に改良。A330-900neoは、280席のA350-800と同クラスになっている。
ブレジエCEOは、Aviation Wireに対し「A350-800を発注した顧客には、近い大きさのA350-900やA330neoを提案し、変更してもらった。残る2社とも協議を続けていく」と現状を説明。「A350-800を開発することは、航空会社にとっても、われわれにとっても最善ではない」と、A350-800をごく少数製造しても、誰にもメリットがないとの見解を示した。
エアバス機とボーイング機の機体サイズを比較した場合、A350-900はボーイング787-9(3クラス283席)や787-10(324席)と、A350-1000は777-9X(398席)と競合する。中型機寄りだったA350-800を外すことでA350のラインナップを整理し、長距離国際線の機材として圧倒的なシェアを誇る777-300ERの後継機需要など、300席以上の大型機市場に狙いを絞る。
日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が777の後継機として、A350-900とA350-1000を合わせて最大56機導入する。
関連リンク
A350 XWB(Airbus)
Airbus
エアバス・ジャパン
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