5月に入り、地方都市間を結ぶリージョナルジェット機に、大きな動きが2つあった。
1つは、日本航空(JAL/JL、9201)グループのジェイエア(JAR/XM)が、5月10日に新型機エンブラエル190(E190)型機の初号機(登録番号JA241J)を就航。国内の航空会社では初導入となった。2つ目は、MRJにとって最大のライバルが初飛行に成功し、MRJと同時期の納入開始に向けて一歩前進した。
E190はリージョナルジェット市場でシェア50%以上を握る最大手、ブラジルのエンブラエル社製。ジェイエアが2009年2月から導入しているエンブラエル170(E170)型機が1クラス76席なのに対し、E190は2クラス95席となった。上級シートの「クラスJ」が15席(1列1席+2席)と普通席80席(1列2席+2席)で、リージョナル機にクラスJを初導入した。
E170とE175、E190、E195の4機種で構成する「Eジェット」のうち、E190は1クラス仕様であれば約100席となる3番目に大きな機体だ。ジェイエアの大貫哲也社長は「次の10年を支える戦略機材」と表現。7年ぶりの新型機に期待を寄せる。
「現在運航しているボンバルディアCRJ200型機(1クラス50席)の路線をE170に、E170の路線をE190にと大型化していく」(大貫社長)と、機材更新に合わせて大型化を進めていく。将来的には、E170とE190を三菱航空機が開発中の「MRJ」への置き換えを進める計画だ。MRJは32機発注済みで、2021年から7年程度かけて置き換えを進めていく。E190が今後10年の戦略機材となるゆえんだ。
エンブラエルは5月23日、このE190の次世代型となるE190-E2の飛行試験初号機(登録番号PR-ZEY)の初飛行に成功。今年2月25日にロールアウトし、下半期の予定を前倒ししての初飛行だった。
MRJが開発に苦戦する中、MRJと同じ2018年の量産初号機引き渡しに向け、プロジェクトが順調に進んでいることを印象づける出来事だった。
ほぼ同じサイズで、MRJ最大のライバルであるE190-E2は、どのような機体になるのか。そして、日本市場に最適な機体サイズをどう見ているのかなど、エンブラエルのアジア太平洋バイス・プレジデントのマーク・ダナキー氏に聞いた。
—記事の概要—
・3日間の地上訓練でE2移行
・手荷物収納棚の設計変えた
3日間の地上訓練でE2移行
E2シリーズはE190-E2のほか、E175-E2とE195-E2の3機種で構成。MRJと同じく、低燃費と低騒音を特徴とする米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製GTF(ギヤード・ターボファン)エンジンを採用した。メーカー標準の座席数は、E190-E2が1クラス106席、2クラスでは97席、2019年納入開始のE195-E2は1クラス132席、2クラス120席で、2020年に引き渡しを始めるE175-E2は1クラス88席、2クラス80席だ。
E2シリーズは2013年6月に開発がスタートし、これまでに航空会社とリース会社から640機の受注を獲得。内訳は267機が確定発注、373機がオプションや購入権となっている。一方、MRJは2月16日に米国の航空機リース会社エアロリースと20機(確定10機、オプション10機)の発注について基本合意(LoI)しており、契約締結に至ると受注機数は427機(確定233機、オプション170機、購入権24機)になる。
── まず、ジェイエアにはE190のどういった点が高く評価されたと感じているかを教えて欲しい。
ダナキー氏:一番大切なのは、航空会社が利益を出すこと。私達の機体が経済的に競争力があると感じられたのだろう。
アドバンテージとしては、E170のパイロットがE190を操縦できる共通性だ。E2シリーズへ移行する際も、E1(現行のEジェット)シリーズのパイロットは実際の飛行訓練ではなく、3日間の地上訓練で済む。
ジェイエアの場合、クラスJを設けて95席。急速な成長ではなく、安定した会社の成長が見込めると判断したのではないか。
── E1の生産レートは現在どの程度で、増産計画はあるか。
ダナキー氏:年間100機くらいだ。増産は顧客の状況によるが、E1の生産は
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