MRJ, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2016年5月29日 21:50 JST

「サポート体制も強み」特集・エンブラエル幹部が語るMRJ最大のライバルE190-E2

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 5月に入り、地方都市間を結ぶリージョナルジェット機に、大きな動きが2つあった。

 1つは、日本航空(JAL/JL、9201)グループのジェイエア(JAR/XM)が、5月10日に新型機エンブラエル190(E190)型機の初号機(登録番号JA241J)を就航。国内の航空会社では初導入となった。2つ目は、MRJにとって最大のライバルが初飛行に成功し、MRJと同時期の納入開始に向けて一歩前進した。

5月10日に就航したジェイエアのE190初号機=16年4月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 E190はリージョナルジェット市場でシェア50%以上を握る最大手、ブラジルのエンブラエル社製。ジェイエアが2009年2月から導入しているエンブラエル170(E170)型機が1クラス76席なのに対し、E190は2クラス95席となった。上級シートの「クラスJ」が15席(1列1席+2席)と普通席80席(1列2席+2席)で、リージョナル機にクラスJを初導入した。

 E170とE175、E190、E195の4機種で構成する「Eジェット」のうち、E190は1クラス仕様であれば約100席となる3番目に大きな機体だ。ジェイエアの大貫哲也社長は「次の10年を支える戦略機材」と表現。7年ぶりの新型機に期待を寄せる。

 「現在運航しているボンバルディアCRJ200型機(1クラス50席)の路線をE170に、E170の路線をE190にと大型化していく」(大貫社長)と、機材更新に合わせて大型化を進めていく。将来的には、E170とE190を三菱航空機が開発中の「MRJ」への置き換えを進める計画だ。MRJは32機発注済みで、2021年から7年程度かけて置き換えを進めていく。E190が今後10年の戦略機材となるゆえんだ。

 エンブラエルは5月23日、このE190の次世代型となるE190-E2の飛行試験初号機(登録番号PR-ZEY)の初飛行に成功。今年2月25日にロールアウトし、下半期の予定を前倒ししての初飛行だった。

 MRJが開発に苦戦する中、MRJと同じ2018年の量産初号機引き渡しに向け、プロジェクトが順調に進んでいることを印象づける出来事だった。

エンブラエルのアジア太平洋バイス・プレジデントのダナキー氏=16年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ほぼ同じサイズで、MRJ最大のライバルであるE190-E2は、どのような機体になるのか。そして、日本市場に最適な機体サイズをどう見ているのかなど、エンブラエルのアジア太平洋バイス・プレジデントのマーク・ダナキー氏に聞いた。

—記事の概要—
3日間の地上訓練でE2移行
手荷物収納棚の設計変えた

3日間の地上訓練でE2移行

初飛行に成功したエンブラエルE190-E2の飛行試験初号機(同社提供)

 E2シリーズはE190-E2のほか、E175-E2とE195-E2の3機種で構成。MRJと同じく、低燃費と低騒音を特徴とする米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製GTF(ギヤード・ターボファン)エンジンを採用した。メーカー標準の座席数は、E190-E2が1クラス106席、2クラスでは97席、2019年納入開始のE195-E2は1クラス132席、2クラス120席で、2020年に引き渡しを始めるE175-E2は1クラス88席、2クラス80席だ。

 E2シリーズは2013年6月に開発がスタートし、これまでに航空会社とリース会社から640機の受注を獲得。内訳は267機が確定発注、373機がオプションや購入権となっている。一方、MRJは2月16日に米国の航空機リース会社エアロリースと20機(確定10機、オプション10機)の発注について基本合意(LoI)しており、契約締結に至ると受注機数は427機(確定233機、オプション170機、購入権24機)になる。

── まず、ジェイエアにはE190のどういった点が高く評価されたと感じているかを教えて欲しい。

E190の機内でジェイエアの大貫社長と握手を交わすエンブラエルのアジア太平洋バイス・プレジデントのダナキー氏=16年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ダナキー氏:一番大切なのは、航空会社が利益を出すこと。私達の機体が経済的に競争力があると感じられたのだろう。

 アドバンテージとしては、E170のパイロットがE190を操縦できる共通性だ。E2シリーズへ移行する際も、E1(現行のEジェット)シリーズのパイロットは実際の飛行訓練ではなく、3日間の地上訓練で済む。

 ジェイエアの場合、クラスJを設けて95席。急速な成長ではなく、安定した会社の成長が見込めると判断したのではないか。

── E1の生産レートは現在どの程度で、増産計画はあるか。

ダナキー氏:年間100機くらいだ。増産は顧客の状況によるが、E1の生産は


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