2015年1月に経営破綻したスカイマーク(SKY/BC)。機材をボーイング737-800型機(1クラス177席)に再統一後、不採算路線から撤退するなどが奏功し、3月28日には民事再生手続きが終結した。
現在の経営陣は、2015年9月に発足。代表権のある会長には投資ファンド「インテグラル」の佐山展生代表が、同じく代表権のある社長には日本政策投資銀行(DBJ)元・取締役常務執行役員の市江正彦氏が就任した。
民事再生手続きを終え、次のステージに入ったスカイマーク。終結と同時に発表した2016年度から2018年度の中期経営計画では、国際線就航も視野に入れている。
特集前編の今回は、かつて就航していた地方都市への再就航の可能性や、国際線の見通しなど、市江社長に聞いた。
後編では、佐山会長に再生過程や今後を聞く。
—記事の概要—
・商工会議所に入った
・地方再就航の可能性と国際線
商工会議所に入った
── スカイマークの社長として乗ってみて、どう感じたか。
市江社長:以前はエア・ドゥ(ADO/HD)の仕事をしていたが、乗ってみてイメージが変わった。
しかし、シートピッチもANAやJALと同じなのに、狭いというイメージを持たれている。それをどう変えていくかだ。3日前に乗っても安い点などを訴求していきたい。
── スカイマークの強みは何か。
市江社長:値段が手ごろなことと、ベーシックなサービス。茨城や神戸のように、地域の発展にも取り組んでいきたい。
神戸では阪神タイガースとコラボレーションした「タイガースジェット」を飛ばしている。茨城は近隣の観光地として日光や鬼怒川があり、2、3年以内には高速が空港まで延びてくる。就航する地域にフォーカスした取り組みを進めたい。
スカイマークは20年前、航空業界に新風を巻き起こした。そういうスピリッツを盛り返して欲しい。革新性や多様性は日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)にはないものだ。社員はそれを忘れないで欲しい。
── 市江社長が入り、変えたものは。
市江社長:神戸や福岡の商工会議所に入った。地域の中堅企業は商工会議所に入っていることが多いので、ここでスカイマークを知ってもらい、利用してもらう。リレーションは大事だ。
新規就航しては止めるは良くない。過去には鹿児島も一度止めている。そういうことがないようにしていきたい。熊本も黒字だったが撤退している。
── 現在の主な取り組みは。
市江社長:基礎体力作りで、下半身を鍛えている。4月は定時出発率の改善に取り組んだ。
そして、儲かって社員にちゃんとボーナスを出せるようにする。2016年度がちゃんと出来れば、その後につながる。社員が満足していないと、利用者も満足する航空会社になれない。
航空会社は労働集約型の産業。スカイマークで約2000人が働いている。グランドハンドリングも自前だ。団結できそうなところがある。
毎日何便も飛ばしており、きちんと繰り返していくにはヒューマンエラーをいかに防ぐかだ。そのためには仕組み作りが大事で、風通しがよくないといけない。2000人くらいなら実現しやすいのではないか。
風通しのよさは安全やサービス、効率化に必須。思ったことを言えるようにすることが大切だ。現在は「ほめたつ(褒める達人)研修」をやっている。
利益が出ないと何も出来ない。これからは人材に投資したい。スカイマークには自社養成パイロットとして採用した人もおり、順番に訓練を再開する。彼らはほかの部署でもよく働いている。
── 定時運航はどうしていきたいか。
市江社長:定時出発は93%まで向上した。定時性を維持するとなると、客室乗務員がやること、地上旅客係員がやることを見直していく必要がある。
そして予備機があることで定時性を高めることが出来る。予備機を維持するには、保有機材が20機くらいないと難しいのではないか。
企業を訪問すると、「遅れないよね」と言われてしまう。
── ビジネス需要を取り込む際、大手はマイルで囲い込みをしている。
市江社長:欠航などが生じた際、スカイマークはANAやJAL、新幹線への振替輸送を行っている。
最近は企業によっては、マイルの分を出張経費の精算時に引かれることがある。企業は経費削減しており、これまで続けてきたサービス内容を知ってもらうとともに、今までのスカイマークとは違うことも発信していきたい。
地方再就航の可能性と国際線
── 3月に民事再生手続きが終結した感想は。
市江社長:債務返済まではいくだろうと思っていた。重要なのはお金の問題だけではなく、定時性改善や
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