エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2016年5月10日 06:10 JST

ジェイエア、E190で遊覧飛行　大貫社長「次の10年の戦略機材」

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　5月10日にエンブラエル190（E190）型機を就航させる日本航空（JAL/JL、9201）グループのジェイエア（JAR/XM）は9日、拠点とする伊丹空港周辺の自治体関係者をはじめとする94人を招いた遊覧飛行を実施した。

　E190は、ブラジルのエンブラエル社が2005年から引き渡しを開始した、100席クラスのリージョナルジェット機。ジェイエアは、1クラス76席のエンブラエル170（E170）型機を2009年2月から導入済みで、E190導入により、高需要路線にの機材を大型化する。国内の航空会社がE190を導入するのは初めて。

黒の本革シートに赤のヘッドレストカバーでアクセントを付けたジェイエアのE190の機内に立つ客室乗務員＝16年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

次の10年支える戦略機材

5月10日に就航するジェイエアのE190初号機＝16年4月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　E190のメーカー標準座席数は104席だが、ジェイエアの機体は2クラス95席。上級シートの「クラスJ」が15席（1列1席＋2席）と普通席80席（1列2席＋2席）で、リージョナル機にクラスJを導入するのは初めて。

　また、JALグループの国内線用機材では初めて、電源コンセントを全席に完備（普通席は2席共用）する。

　シート素材は、JALの国内線新仕様機「JAL SKY NEXT（JALスカイネクスト）」と同等のものを採用。両クラスとも黒い本革シートで、赤やワインレッドのヘッドレストカバーでアクセントを付けた。

　2016年度末には、Wi-Fiを利用した無料ビデオ番組サービスを開始予定。乗客が手持ちのスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど無線LAN対応機器を使い、ビデオ番組を視聴できるようにする。一方、インターネットには接続できない。

記念式典であいさつするジェイエアの大貫社長＝16年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　JALは2014年8月28日、E190と追加発注となるE170の2機種合計で確定発注15機、オプション契約12機の最大27機を導入する契約を結んだ。2016年度は、E190を5機受領する。2号機（JA242J）の運航開始は7月、3号機（JA243J）は9月就航を予定している。

　ジェイエアは、瀬戸内海の海上交通を代替するテスト事業としてスタート。その後国内線コミューター事業へ転換し、2011年3月に伊丹へ本拠を移した。現在はJALの国内線のうち、北は女満別から南は鹿児島まで、約2割を運航している。

　遊覧飛行に先立って開かれた記念式典で、ジェイエアの大貫哲也社長は「航空会社にとってワンサイズ大きい飛行機を持てることは、事業拡張や会社発展を意味するもので感慨深い。次の10年を支える戦略機材で、社員の士気も上がっている」と、7年ぶりの新型機導入の意気込みを述べた。

　エンブラエルのアジア太平洋バイス・プレジデントのマーク・ダナキー氏からは、初便の就航都市である大阪と鹿児島が機体に描かれたE190の特製模型が、大貫社長にプレゼントされた。

「普通席も本革だ」

　定期便の就航前日となる9日夕方に実施された遊覧飛行では、伊丹空港周辺の自治体関係者や地元の梅花女子高校の生徒らが招待された。同校には調理・製菓コースがあり、ジェイエアの客室乗務員とともにスイーツを開発する「豊中スカイスイーツプロジェクト」を進めている。

　機内に入った招待者からは、「普通席も本革だ」と内装を評価する声が聞かれた。

　遊覧飛行は、伊丹を午後4時48分に出発。神戸から鳥取へ向けて北上後、京都府宮津市、亀岡市、奈良県生駒市を経て、午後5時55分に伊丹へ戻った。約1時間の短いフライトだったが、客室乗務員による飲み物のサービスが行われた。

　コックピットには飛行経路のアナウンス担当として、豊中市出身の酒井真比古機長が同乗。2015年11月にJALとジェイエアがFacebook（フェイスブック）のファンイベントを共催した際、運航前ブリーフィングの体験コーナーを担当した。酒井機長は、地元出身ならではの熱のこもったアナウンスで、眼下の街並みを解説した。雨天での遊覧飛行だったが、到着時には客席から拍手がわき起こった。

　5月10日に就航する1路線目は伊丹－鹿児島線で、伊丹を午前7時20分に出発するJL2401便が定期運航の初便。1日7往復のうち、4往復をE190で運航する。

　2号機が就航する7月からは、伊丹－福岡線と仙台線にも投入。福岡線は1日4往復中の1往復、仙台線は1日7往復中の3往復を運航する。

＊写真は23枚。
＊機内の写真特集を別途掲載します。
＊初便の伊丹出発はこちら。
＊初便の鹿児島到着はこちら。