日本航空(JAL)は9月13日、国際線用ボーイング777-300ER型機で提供する全クラスの新シートと機内食を発表した。ビジネスクラスの全席から通路へアクセスできるフルフラットシート導入や、男性客でも足を組める広さのエコノミークラスのシートが目玉で、機内食も“空の上のレストラン”をコンセプトに新メニューを展開していく。
2013年1月に成田-ロンドン線でサービスを開始。保有する全13機の改修を進めて欧米方面を中心に導入路線を拡大する。
1クラス上のシート
新仕様機「SKY SUITE 777(スカイ スイート 777)」は全クラスのシートを刷新。座席数はファースト8席(現行8または9席)、ビジネス49席(77または63席)、プレミアムエコノミー40席(46または44席)、エコノミー135席(115または156席)の計232席で、改修前の246席または272席より減少する。
全クラスの共通テーマとして「1クラス上のシート」を掲げる新シートは、どのクラスでも居住性やサービスを向上。シート配列は、ファーストが1-2-1、ビジネスが2-3-2、プレミアムエコノミーが2-4-2、エコノミーが3-3-3とした。
ファーストは世界最大級のベッドサイズで、テンピュールの寝具を採用。個人モニターも19インチから23インチに大型化した。
ビジネスはフルフラットシートを導入し、全席から通路へのアクセスを実現。電動プライバシーパーティションを装備し、個室に近い構造ながら隣り合う同行者と会話ができるようにした。
プレミアムエコノミーは前席の背もたれが倒れてこない「FIXED BACK構造」で、一定の居住空間を常に保つ。シートピッチは同クラスで世界最大級とし、個人モニターはタッチパネル式を導入した。
エコノミークラスは薄型シートの採用とシートピッチ拡大で足もとのスペースを最大約10cm広げ、大人の男性客でも足を組める広さが特徴。スマートフォン用フォルダーやネット式ペットボトルホルダーなど、収納性を向上した。
客室乗務員によると、これまで窓側の乗客に機内食を提供する際、どうしても通路側の乗客の目の前を機内食が横切るような状態にならざるを得なかったが、ビジネスクラスの新シートは窓側も通路側と同様に提供できるため、サービスが行いやすいという。
* ファーストとビジネスの詳細はこちらを、プレミアムエコノミーとエコノミーはこちらをご覧ください。
空の上のレストラン
ファーストとビジネスクラスの機内食はミシュラン2つ星店をはじめとする、4人のシェフと料理プロデューサーが監修。食材などにこだわり、“空の上のレストラン”を意味する「SKY AUBERGE by JAL(スカイ オーベルジュ バイ JAL)」として、新メニューを提供する。
プレミアムエコノミーとエコノミーの機内食は「JAL KITCHEN GALLERY(JAL キッチン ギャラリー)」として、日本全国のご当地メニューや、吉野家やモスバーガーなどとのコラボレーションメニュー「AIRシリーズ(エアシリーズ)」などを提供していく。
また、7月から777-300ERでサービスを開始した無線LANによるインターネット接続サービス「JAL SKY WiFi」も、13年内には全13機で使用可能になる。
必要な改革の第一弾
JALの植木義晴社長は「中期経営計画で成長分野を国際線の中長距離路線と位置づけている。今回の発表は第一弾で、さまざまな商品やサービスは欠かせないもの」と新シートや機内食の導入意図を説明。「世界の利用者から一番に選んでもらえるサービスを提供したい」と抱負を述べた。
新サービス導入によるロードファクター(座席利用率、L/F)への影響についてAviation Wireが尋ねると、「オープンスカイの発展や首都圏の発着枠増枠など、これから国際線分野は厳しい競争になる。われわれには大きなビジネスチャンスだが、大きな競争環境に入るとも考えている。大きなL/Fの上積みは計画していないが、必要な改革を行う第一弾と捉えていただきたい」と応じた。
ユニットコスト(CASK)への影響については、「今回の導入も織り込んで中期計画を立てたので、昨年度末の11.5円から計画最終年度の16年度で11円の目標は確実に達成する」と意気込みを語った。
JALの7月の国際線旅客数は前年同月比8.8%増の64万1958人、ロードファクター(座席利用率、L/F)は4.8ポイント増の76.3%。国際線でL/Fが最も高かった路線は太平洋線の83.3%(前年同月比4.4ポイント増)だった。
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