全日本空輸(ANA/NH)初の国際線定期便である成田-グアム線から、3月3日で30周年を迎えた。就航20周年を迎えた2006年に累計搭乗者数が5000万人に達し、2015年11月には1億人を突破した。
国際線就航初年の1986年はグアム線就航後、7月16日から成田-ロサンゼルス線を週5往復、7月26日から成田-ワシントン線を週3往復で開設。30年後の現在は、世界39都市へ59路線を運航するまでに拡大した。
機内でパフェ盛り付け
30周年当日の3日は、特別サービスを実施。成田発ロサンゼルス行きNH6便では、客室乗務員(CA)が初代から現行10代目までの歴代制服を着用し、機内サービスを提供した。チーフパーサーの制服は就航当時の7代目のもので、チーフパーサー用の赤いジャケットを着用した。
また、過去に人気の高かったオリジナルパフェを、ファーストとビジネスクラスで復刻。2013年まで提供していたもので、日本発欧米路線(深夜便・ホノルル除く)で用意した。
歴代制服を着用したCAが乗務するNH6便の機内では、2人のシェフがパフェを盛り付けた。同乗したのは、ANAの機内食を手掛けるグループ会社ANAケータリングサービス(ANAC)の洋食統括部長の吉倉福三シェフと、ベーカリー参与の高橋正巳シェフ。ANAC創成期から腕を振るってきた2人が、人気のパフェをふるまった。
歴代制服を着たCAや機内のギャレー(厨房)で盛り付けするシェフと、普段は見られない光景を目にした乗客は、CAやシェフと記念撮影していた。
CAの親も喜ぶ
NH6便のCAは、成田空港で3日に開かれた記念イベントで、歴代制服を着用してフォトセッションに臨んだ。撮影を終えた10人は機内に入り、通常通り乗客を出迎えた。
しかし、国際線定期便就航後に登場した制服は8代目以降。以前はストレッチ素材もあまり導入されていなかったため、荷物の上げ下ろしなどは気を遣う面もあったようだ。
一方、着用するCAの親の世代には懐かしいものも多く、「両親が喜んでくれました」と、今回の乗務を家族ぐるみで喜んでいるCAもいた。
現行は15年2月着用開始
ANAの初代から10代目までのCA制服について、着用期間と特長をまとめた。おおむね10年程度で世代交代してきた制服は、どのようなものだったのだろうか。
初代制服は、1955年11月15日から1958年8月31日まで着用。ANAの前身、日本ヘリコプター輸送(日ペリ)がダグラスDC-3型機を就航させる際、客室乗務員を初めて採用した際の制服。
2代目は、1958年9月1日から1966年2月28日まで着用。襟(えり)なしの紺のツーピースと、開襟シャツを組み合わせた。夏はジャケットを脱ぎ、シャツでサービスした。社員によるデザイン。
3代目は、1966年3月1日から1970年2月28日まで着用。従来の制服からイメージチェンジした明るいブルーのツーピースで、夏服は半袖のジャケットだった。デザイナーは中村乃武夫氏で、この制服は1966年9月に厚生大臣賞を受賞した。
4代目は、1970年3月1日から1974年3月9日まで着用。1970年開催の大阪万博に合わせたもので、当時大流行したAラインのミニを取り入れた。夏服は青と白、冬服は黄色と茶色のワンピースで、デザイナーは芦田淳氏。
5代目は、1974年3月10日から1979年1月24日まで着用。ロッキードL-1011型機「トライスター」導入と同時に登場した制服で、「トライスタールック」と呼ばれた。デザイナーは伊藤達也氏で、ブルー、ベージュ、オレンジの3色のバリエーションと、パンタロンを採用した。
6代目は、1979年1月25日から1982年11月30日まで着用。ボーイング747SR型機「スーパージャンボ」就航と共に登場。デザイナーは三宅一生氏で、当時の制服としてはカジュアルなデザインや色使いが、斬新だとされた。
7代目は、1982年12月1日から1990年11月1日まで着用。創立30周年記念日に一新したもので、先代から大きく変わり、かっちりしたデザインのダブルのスーツになった。デザイナーは芦田淳氏。
8代目は、1990年11月1日から2005年4月30日まで着用。ボーイング747-400型機就航を記念して導入した制服で、ブラウスやスカーフは、バイオレット、アクアマリン、コーラルピンクの3色から各自が自由に選べた。1998年10月から、制帽がなくなった。デザイナーは芦田淳氏。
9代目は、2005年5月1日から2015年1月31日まで着用。創立50周年と羽田空港第2ターミナルへの移転を機に、15年ぶりに刷新した。
同社の経営理念「安心」と「信頼」を感じさせる濃紺を基本として、コーポレートカラーの「ブルー」とエレガントな「パープル」を基調に、「親しみやすさ」をイメージ。従来制服ではあまり使われることのなかった「ラメ糸」によるストライプを取り入れ、「新しさ」と「変革」を表現した。デザイナーは田山淳朗氏。(9代目の詳細記事はこちら)。
現行の10代目は、2015年2月1日から着用開始。ライトグレーのジャケットとチャコールグレーのスカート背面にブルーのラインを取り入れた。ブラウスは無地のブルーのほか、ツイード柄のブルーとピンクの3種類を用意。各自が好みで着分けられる。
デザイナーはANA初の外国人デザイナー、プラバル・グルン氏。2014年4月に発表された新制服の基本コンセプトは3つ。1つ目はANAの世界的な認知度向上のための「挑戦」をキーワードに、「強く生まれ変わる」「進化する」「きらめく」を感じられるもの、2つ目は「安心感」「信頼感」を感じられるもの、3つ目は「日本のホスピタリティ」を感じられるものとした(10代目の詳細記事はこちら)。
ANAでは、2015年度は成田-ヒューストン、クアラルンプール、ブリュッセル、羽田-シドニーの4路線4都市へ就航。2016年度は4月28日から成田-武漢線を、9月1日からは成田-プノンペン線を、それぞれ1日1往復で新設する。10月30日に始まる冬ダイヤでは、成田-メキシコシティ線の開設を予定している。
関連リンク
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