三菱重工業(7011)は2月28日、横浜・西区の三菱みなとみらい技術館をリニューアルオープンする。6つのゾーンのうち、航空宇宙ゾーンを刷新。三菱航空機が開発を進める国産初のジェット旅客機「MRJ」の実物大模型を展示する。
MRJの実物大模型は、これまで設置していた機首とシミュレーターのほか、前胴部も設置。実際に使用するシートやオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)、天井のLED照明なども設置し、機内を忠実に再現した。このほか、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製のギヤード・ターボファン・エンジン「PurePower PW1200G」の実物大模型や主翼の一部も設けた。
同館の能宗(のうそう)俊起館長によると、1日平均の来場者数は500人で、年間で14万人から16万人が訪れるという。2015年夏ごろから来館者が増え始め、能宗館長は「MRJ効果だろう」と分析。今後は年間20万人の来場者を目指す。
リニューアルへの投資額は「けっこうな金額」(能宗館長)とし、具体的な額の明言は避けた。同館は毎年2月をめどに10日間程度の休館日を設け、リニューアルしている。
シミュレーターは週末になると10人以上が並ぶ人気コーナーで、1時間以上待つこともあるという。作動時間を従来の6分半程度から4分半にすることで、利用希望者の待ち時間短縮を期待する。能宗館長によると、シミュレーターは難易度を少しだけ上げたようで、「何度でも挑戦してほしい」と述べ、リピーター獲得を狙う。
航空宇宙ゾーンの入り口には、横13メートル、高さ3.5メートルのスクリーンを設置。「イマジネーションシアター」と名付け、空を飛びたいと願う少年の思い描く映像をイメージ化して放映する。
タッチパネルを操作してゲーム感覚で体験できる「エアクラフトチャレンジ」は、従来の組立・整備、分解のほか機体設計と工具整理を追加。4つの工程を学ぶことができる。工具整理では、スパナやドライバーなど、整備に必要な工具を制限時間内に片づけられると、クリアした人だけが見られる特別画面を用意する。
このほか、H-IIAロケットとH-IIBロケットに搭載するLE-7Aエンジンなどの実物も展示。H-IIAとH-IIBのほか、開発を進めているH3ロケットの20分の1模型も展示している。国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟も実物大模型で設置した。
三菱みなとみらい技術館は1994年6月にオープン。航空宇宙ゾーンのほか、「海洋ゾーン」と「交通・輸送ゾーン」「くらしの発見ゾーン」「環境・エネルギーゾーン」「技術探検ゾーン」を設置している。2015年3月には海洋ゾーンをリニューアルし、実物大の有人潜水調査船「しんかい6500」の内部の仕組みを紹介するコーナーを設けている。
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三菱みなとみらい技術館
MRJ
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