国土交通省は2月18日、米国の航空当局と協議を都内で開き、羽田空港の昼間時間帯に米国路線が就航することで合意した。ニューヨークなどの東海岸へも就航できるようになり、10月30日に始まる冬ダイヤから日米5便(往復)ずつの運航開始を目指す。
—記事の概要—
・昼間に日米5便ずつ
・配分比率が焦点
昼間に日米5便ずつ
今回合意したのは、2014年3月30日開始の夏ダイヤから配分された、羽田国際線発着枠の二次増枠分。欧州やアジアは当局間の合意で配分できたが、交渉が難航した米国のみ配分が見送られた。
羽田発着枠を時間帯で分けると、午前6時から午後11時までの昼間時間帯と、午後11時から午前6時(午後11時から原則発着不可の成田と国際線運航機能をつなぐ『リレー時間帯』を含めると午後10時から)の深夜早朝時間帯に二分される。二次増枠により、国際線は昼間に年間6万回(1日80便)、深夜早朝は同3万回(同40便)の発着ができるようになった。
現在羽田発着の米国路線は、深夜早朝にハワイと西海岸のみ、日米双方が4便(往復)ずつ運航が認められている。2010年10月に羽田が再国際化した際、両国が合意したもので、羽田からサンフランシスコとロサンゼルス、ホノルルの3都市へ、日系2社と米系4社の計6社が運航している。
日本側は2社2路線ずつ4路線で、全日本空輸(ANA/NH)がロサンゼルスとホノルルへ、日本航空(JAL/JL、9201)がサンフランシスコとホノルルへ就航。米国側は4社1路線ずつ4路線で、デルタ航空(DAL/DL)とアメリカン航空(AAL/AA)がロサンゼルスから、ユナイテッド航空(UAL/UA)がサンフランシスコから、ハワイアン航空(HAL/HA)がホノルルから乗り入れており、日米8路線がそれぞれ週7便(往復)ずつ合計週56便(往復)となっている。
今回の合意では日米双方に対し、昼間時間帯に5便(往復)ずつ、深夜早朝時間帯に1便(往復)ずつ配分。5便のうち4便分は、現在使用している深夜早朝の発着枠4枠をすべて昼間へ移行し、新たに1便分の発着枠を配分する。これにより深夜早朝は発着枠がなくなるため、深夜早朝にも1便分の発着枠を新設する。
また、深夜早朝では運航スケジュールに問題のあったニューヨークやワシントンDC、ボストンなどの東海岸にも、現地へ昼間に到着できる便を羽田から運航できるようになる。これにより、主要路線の多くが成田から羽田へ移った欧州路線と同様、米国路線も主要就航地へ向かう路線は羽田へ移る可能性が出てきた。
配分比率が焦点
運航する航空会社や路線については、今後日米双方が国内で手続きして決定する。今回の配分では2014年3月と同様、ANAとJALに対し、国土交通省が傾斜配分を実施するかが焦点となる。
2014年3月の配分では、ANAに11枠、JALに5枠が傾斜配分された。配分があった全10カ国のうち、ドイツの2枠とベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダの各1枠は、すべてANAが獲得。英国とフランス、中国、シンガポール、タイは両社へ均等配分となった。
ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)の片野坂真哉社長は、日米合意について、「羽田の昼間時間帯に米国路線を運航することは、国内線との乗り継ぎも便利になり、利用者のニーズは非常に高いと認識している」とのコメントを発表した。
一方、JALの植木義晴社長は日米合意の発表前の18日夕方、米国路線の計画について、「日米が合意に至ってから考えたい」と述べるにとどめた。
前回の日米航空交渉は、2015年12月にワシントンDCで開かれ、2日間の予定を1日延長して3日間協議したものの、合意に至らなかった。今回も当初は2月9日と10日に都内で開催予定だったが、米当局の申し出により、2月16日と17日に延期。2日間では合意に至らず、予備日の18日まで時間を要した。
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国土交通省
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